意思疎通の不足など原因 巡視船誤発射第十一管発表
【那覇支局】第十一管区海上保安本部(一條正浩本部長)は26日、那覇市の那覇港湾合同庁舎で19日に発生した宮古島海上保安部所属の巡視船「しもじ」の機関砲誤発射事案を受け、再発防止策などの説明会を実施した。海保は意思疎通の不足、マニュアル類の不順守、機関砲の構造の理解不足が原因だとし、今後は訓練前にブリーフィングの実施の徹底や訓練の点検などを行うことで再発防止に努めると発表した。また、宮古島市民に対する理解の回復のために説明会を実施することも検討していることも明らかにした。
同事案は19日の午前11時10分ごろ、伊良部池間添の長山港に停泊していた巡視船「しもじ」が搭載している20㍉機関砲から実弾8発が陸地側に向かって誤発射された。人的被害は現時点で確認されていないが、職員の車3台が損傷する物的被害が発生しており、発射された8つの弾丸は現在も確認されていない。
海保によると、20日に予定していた洋上射撃訓練に備え、模擬弾を機関砲に給弾。この時は手順の確認のみ行う予定だった。担当者は船長らに確認せず、実弾を連結させ、発射可能な状態にした。後に、船長から機関砲の取り扱い訓練を手順の確認のみだけではなく、実際に行うと変更。船長らは実弾の発射状況などの確認を怠った。その状況で訓練を実施した結果、実弾8発が発射された。
海保は原因として▽訓練前の実弾の有無の確認など、マニュアル類の不順守▽訓練実施前のブリーフィングの不実施による意思疎通の不足▽実弾が連結され発射される状況にある機関砲の構造の理解不足―の3つが原因と分析している。
再発防止策として▽訓練前のブリーフィングの実施▽陸側に砲を向けない▽海上保安部長らによる緊急点検の実施▽機関砲の構造や操作の研修の実施―などに取り組むとした。今後は長山港での停泊方法も変更する。
宮古島海上保安部はそれらを踏まえ、今後の対応を検討し、地元への説明会の実施などを行った後に再開に向けた取り組みを進めるなど、独自の対策を取るとしている。