地震・津波発生、備えを 陸自、市が防災講演
防災講演会(陸上自衛隊宮古警備隊、宮古島市主催)が21日、未来創造センター多目的ホールで開催され、岩手大学地域防災研究センター客員教授の越野修三氏が「東日本大震災の課題と教訓」と題し、想定される津波や地震の発生に備えた訓練実施、さらには問題点を明らかにして対策することの重要性を強調した。阪神淡路大震災で初動遅れがあったとし、自衛隊の活動拠点を設置したことで東日本大震災の際に対応できたと紹介した。
越野氏は、地震や津波で道路が分断されると、孤立地域が発生し、自衛隊活動拠点が限定され、医療機関の機能低下、救援物資不足などの問題が生じると指摘し、「宮古島でも問題点を明らかにしてイメージし、どう対策するかを考えることが必要」と述べた。
元岩手県防災危機監理監の越野氏は、災害対策本部の強化と機能させるための訓練、県庁内での自衛隊の司令部設置準備、沿岸市町村の自衛隊活動拠点設置、想定される事態の対応訓練に取り組んだことを踏まえ、「課題を具体的にイメージし、課題を克服する準備をすることが重要」と強調。2010年に花巻空港で広域医療搬送訓練を行い、翌11年の東日本大震災で役立ったと振り返った。
東日本大震災では、岩手各地で起きた津波の映像を紹介。過去に津波被害を受けた三陸地域で、予想をはるかに越える津波で避難所が被害を受け、要援護者救助で巻き込まれて犠牲者が出たと指摘し、当初の気象庁発表「3㍍津波」で避難意識の欠如もあったと言及。避難意識の高揚、防災教育、情報伝達手段の整備など、避難行動を促進させるための対策を見直すことが必要とした。
震災後の一部地域のアンケート調査で、住民の約40%が「地震の激しい揺れを感じ、津波に関する各種情報を得てもすぐに避難しなかった」とし、身体的・体力的な条件や知識不足、危機意識の欠如、異常を認知しても正常と解釈する傾向(正常化の偏見)があると指摘した。
講演は陸上自衛隊宮古島駐屯地の防災対処の一環として参加者を制限して開催。市職員や市議会議員、宮古島商工会議所、宮古青年会議所、自衛隊協力会・家族会、隊友会などの関係者が訪れ、講話に熱心な表情で聴き入っていた。