クルマエビ養殖場 補修に国・県が補助へ
ウイルス性疾患でクルマエビが全滅した宮古島漁業協同組合(栗山弘嗣組合長)の養殖場再開に向けて13日、国や県、市と同漁協による意見交換会が行われた。国、県は養殖場の補修に補助金を交付する意向を示したという。事業の採択に向けて市が今年度調査を行い、10月をめどに事業計画書を提出する。また、研究に基づいて病気に強いエビの選定も行うという。栗山組合長は国と県の協力で事業再開へ道筋ができたことを歓迎した。
高野漁港内にある同漁協養殖場では2016年に初めて急性ウイルス失血(PAV)の感染が確認された。それ以降は毎年病気が発生し、利益の出ない状況が続いていたという。養殖池の消毒徹底などあらゆる手段を講じてきたが病気の発生は収まらず、21年度は爆発的まん延で140万匹のほとんどが死滅。1993年の事業開始から初めての出荷ゼロとなり、被害総額は約1億円に達した。
市は今年度予算に調査費として1700万円を計上。当初は養殖池の漏水個所を調査しつつ、防止工事も施す計画を示していた。国・県が補助金を交付し事業再開に協力する意向を示したため、方針を変更。補助事業として採択されるための事業計画策定に取り組む。10月ごろをめどに提出することで、来年度から事業が開始できる見込み。
調査結果により必要な予算が変わってくるため、3面の貯水池の補修を終えるまでの期間も1年から3年の間になり、遅くても25年の再開を目指す。
また、国・県が遺伝子解析などの研究結果を踏まえ、PAVに強いエビを選定するという。調査は終盤に入っており、11月ごろに選定を終える見込み。
仲間松雄水産課長は「大規模な予算を投じる事業で、失敗はできない。徹底的に調査をして補修計画を立てるが、万が一感染が発生した場合に備えて、病気に強いエビを使用する。二重の備えで事業の安定的再開を実現したい」と説明。
栗山組合長は「国や県の協力で道筋ができたことは大変ありがたい。我々もできることに精一杯取り組み、1日も早く養殖事業が始められるよう取り組んでいく」と話した。