沖縄復帰50周年式典 平和で豊かな沖縄へ
【那覇支局】沖縄が1972年に日本に復帰して50周年を迎えた15日、記念式典が宜野湾市の沖縄コンベンションセンターと東京の2会場で開催された。式辞で玉城デニー知事は「県民は過重な基地負担を強いられている。すべての県民が真に幸福を実感できる平和で豊かな沖縄の実現に向けて取り組んでほしい」と政府に求めた。岸田文雄首相は「日米同盟の抑止力を維持しながら基地負担軽減の目に見える成果を積み上げていく」と表明した。
式典には天皇皇后両陛下もオンラインで出席し、天皇陛下は「今後、若い世代を含め、広く国民の沖縄に対する理解がさらに深まることを希望するとともに、豊かな未来が沖縄に築かれることを心から願っています」と「お言葉」を述べた。
バイデン米大統領も「民主主義、自由、法の支配に対する日本の断固とした支援と沖縄の貢献に深く感謝する」とメッセージを寄せた。そのほか、衆参両院議長、最高裁判所長官、ラームエマニエル駐日米大使らがあいさつした。復帰の日の式典が沖縄と東京で同時開催されるのは72年5月15日の復帰当日以来。沖縄会場に781人、東京会場に516人の計1297人が出席した。
式典終了後、玉城知事は式辞で辺野古新基地建設問題に触れなかった理由として、「政府に手交した建議書の中で辺野古新基地建設や普天間基地などの問題は言及している」と述べ、「未来志向の式辞にしたいという思いが強かった」と自身の考えを示した。
岸田首相は「日米同盟と普天間基地の危険性の除去の2つを考えた時に辺野古は唯一の解決策である」との従来の政府方針を改めて示した。その上で「跡地利用の潜在力の高い本島中南部の返還も一つひとつ積み上げていく」と話し、キャンプ瑞慶覧のロウワ―・プラザ住宅地区の日米共同使用を返還に先駆けて進める方針も明らかにした。今後は「沖縄振興と基地負担の軽減という2つの課題に引き続き、取り組んでいかなければならない」と意気込んだ。
式典に出席していた伊良皆光夫多良間村長は「50年間でインフラ整備や経済は大きく向上した。しかし、多くの課題が残っており、一つひとつが解決に向かっていけるように取り組んでいきたい」と話した。