陸自宿舎息子殺害　母親に無罪判決

【那覇支局】市上野野原の陸上自衛隊駐屯地内の宿舎の自宅で２０２１年２月に当時５歳と３歳の息子２人の首を絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた無職で母親の被告（４０）の裁判員裁判で、那覇地裁（小野裕信裁判長）は２４日、被告が心神喪失の状態だったとして、無罪（求刑懲役８年）を言い渡した。検察は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントし、控訴に含みを持たせた。

　被告が息子２人を殺害したことや、被告が自閉スペクトラム症特性や抑うつ障害を患っていたことが犯行に影響を及ぼしていたことについて争いはなく、被告の責任能力の有無が争点だった。検察は被告が抑うつ障害などの影響は認めつつも、責任能力が限定的な「心神耗弱」状態だったと主張。対する弁護側は自らの意思で犯行を思い留まることができない「心神喪失」の状態だったとして無罪を主張していた。
　小野裁判長は「被告の事件前後の行動には一定程度、抑うつ障害の影響がみられ、行動制御能力が失われていたことが強く疑われる」と述べ、無罪を言い渡した。その上で「息子２人のためにも生き続けて、罪と向き合いながら供養をしてほしい」と語った。
　判決によると２１年２月７日、被告は自宅で長男＝当時（５）＝の首をベルトで、次男＝当時（３）＝の首を洗濯ロープで絞めつけて窒息死させたとしている。