沖縄公庫20年度調査 教育費世帯年収の56%

 沖縄振興開発金融公庫調査部が10日までに発表した2020年度教育資金利用者調査報告によると、教育費支出状況は入学費で離島が182万6千円と沖縄全体の149万4千円を大きく上回り、特に住居費負担は全体の32万2千円に対し離島は60万円と大きな差が生じていることが分かった。世帯年収に占める教育費負担割合も全体49.2%、離島56.6%と7.4の差があり、島外や県外に進学せざるを得ない状況が、離島世帯の家計を圧迫する現状があらためて浮き彫りとなった。

 教育資金利用者世帯の状況は、平均年収が全体は422万8千円でうち50.4%が年収400万円未満、離島は394万1千円で55.8%が400万円未満だった。沖縄公庫は、島しょ県の沖縄で島外・県外への進学のため自宅外通学を余儀なくされる学生が多く、離島では住居費など教育費負担は本島に比べて大きいと指摘する。
 世帯年収に占める教育費割合は、200万円未満の離島では105.6%と年収を超え、家計だけでなく教育費捻出が困難な状況となっている。加えて世帯年収別の進学先は、高いほど県外への進学率も高く、世帯年収が進路選択に影響を与えている。県外の進学・在学先は沖縄全体の49.7%を離島の64.3%が大きく上回っている。
 学生1人当たり平均借入額は132万8千円、期間は12.8年、据置期間1.5年、実質返済期間は11.3年、元金の月返済額は8296円だった。
 利用動機は保護者が「貯金や貯蓄でまかなえない」が76.8%と最も多く、次いで「教育費が予想以上」61.7%、「収入が少なく不安」47.8%の順。子どもの事情は「自宅外通学が必要」が65.9%、「高額な授業料がかかる学校を志望した」が64.8%。
 新型コロナウイルス感染症拡大による進路の影響は、海外留学を含む志望校や自宅外から自宅通学への変更が多数あり、「影響があった」とする割合は20.2%と全国の13.7%を上回った。コロナ禍の長期化で家計の急変などの影響を受けた世帯への経済的支援が必要とし、公庫は20年度に特例措置で世帯収入減少に対する年収制限緩和や返済期間延長などを実施し、支援を継続している。
 国の高等教育修学支援新制度による住民税非課税世帯の授業料免除・給付型奨学金給付拡充、県の県外指定大学進学者および観光・情報通信分野専門学生への給付型奨学金創設などで近年は返済義務を負わない給付型支援が進展。沖縄公庫は、「地理的、経済的環境などで学生の就学環境が制約されないよう、今後も学ぶ機会確保に向けて各方面のさらなる支援拡充を期待したい」とした。
 調査は20年度に教育資金を利用した貸付件数1934件を対象に実施した。うち離島は335件。

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