久貝さん(後列右)や真栄里さん(前列右)らが先輩のツカサンマからニガイの仕方を習った =池間島の大主神社

6年ぶりにツカサンマ誕生

 池間島で6年ぶりとなるツカサンマが誕生し、旧正月の1日、大主神社(ウハルズ御嶽)で前任者からの引き続きニガイと、住民のことし1年間の健康や航海安全、豊漁・豊作を願う旧正月ニガイを執り行った。事前の意思確認や対象年齢の拡大など伝統を変革してのツカサンマ就任に、池間自治会の仲間広二会長は「時代の変化に合わせながら変えられるところは変えることで、文化を次世代に継承していきたい」と話した。

 新たにツカサンマとなったのは久貝理恵さんと新崎あや子さん、真栄里春美さん。3人はツカサンマになることを名乗り出て、くじの結果、久貝さんがホォンマ、新崎さんがカカランマ、真栄里さんがナカンマになることが決まったという。かつてツカサを務めていた先輩から儀式のやり方を一つひとつ教わりながら、初めてのニガイに臨んだ。
 池間島では51~55歳の女性が3年間ツカサンマを務める習わしで、かつては名前が書かれたくじをお盆からふるいにかけて落とす「紙降ろし(ツカサユリ)」で選んできた。
 対象となる女性に事前に意志確認を行わず、ツカサンマに選ばれたことを伝えてきたが、就任を断る人が続出。ツカサンマは長らく不在となっていた。
 農業や漁業中心で時間に自由が利き共同体の結びつきも強かった時代の習慣が、多くの人が職に就いている現代社会にそぐわなくなっていることがツカサンマ不在の背景にある。
 仲間会長は「伝統はもちろん大切だが、時代の流れに合わせて変化していかないと途絶えてしまうと考えた」と話す。池間島に住む女性にツカサンマを務める意志があるか一人ひとり確認してまわったという。
 従来のきまりの51~55歳では希望者が見つからず、対象を40~60代に拡大。名乗り出たのは久貝さんら3人だけだったため、くじに白紙を混ぜながらツカサユリを実施した。
 本来は年間に40以上のニガイがあり、なかには御嶽に泊まり込むものもあったが、数を減らしツカサの負担軽減を図りながら、伝統継承に取り組んで行く。

関連記事一覧