井上美香のあんちいーやー⑫土地改良と基幹産業と島の未来(2)

 前回のコラムでは赤土の流出から始まり、島の発展と島の持つ自然、基幹産業の問題点観光、所得向上、高齢化、後継者問、気候変動、いろんなことが絡み合っていることを紹介した。今回は農業に携わる方や農地を所有している方に聞いた話を紹介したいと思う。

植え付け作業。昔は子供たちが畝に並び、誰が一番早く植え付けられるか競争していたそうだ

 「キビには助けられた」倒すキビ分を抵当にJAからお金を借りることができ、息子たちの進学の学費はそれで支払うことができたと、伊良部の60代の女性は語る。ご主人サトウキビ農家、ご自分は勤めを辞めて園芸農家を50代ではじめた。ハウスを建てるなどの力仕事は会社員の息子二人が手伝いにきてくれが、息子たちは「農業は継がない」と話しているという。あと過度な土地改良はこれ以上やめてほしい。昔はサシバやタカをたくさん見ていたが生い茂っていたもモクマオウの木も今はない。

 68歳の男性。土地改良以前はL字型の農地だったが土地改良が入り楽になった。
だが今まで見たこともない雑草が生えてきた。根が太くこれを取り除くのが一苦労だとか。後継者は姪っ子夫妻がやるだろう。「将来はなるようになるさ」と宮古の人らしい
答え。

 3aの農地を持つ会社員50代男性。彼が小学校のころ土地改良は干ばつに強く粘土質の土が入り水分保湿もよくなり最適な整備事業だと聞かされていた。父が他界して代替わりで土地を所有すると、口約束で親戚などに貸していた土地が又貸しなどでどこで誰が何を栽培しているかすら分からず固定資産税だけ自分が払わないといけない。そこで、公益財団法人の機関が農地の持ち主と担い手の仲介役となってくれる事業を利用し、身内だとあやふやになってしまうことを第三者が入ることでスムーズに賃貸契約することができたそうだ。
 今はなくなってしまった石垣で作られた畑、木陰で休み汗をみんなで流していたころを思い出すと、生前父は「農家は継がなくていい、土地は売ってしまっていい」と言っていたが土地を売ってしまうのには抵抗があると昔を懐かしんでいた。

 福山で60aaのキビ畑を持つ72歳の男性。この一帯は昔稲作農家だったそうだ。中学生まではお米が取れていてそれはそれは美味しいお米が収穫できていた。時代の流れとともいお米を収穫してもJAが引き取ってくれなくなり皆サトウキビに転向した。元々水が沸いていたところなので、干ばつしないとキビは植えられなかったので土地改良が進みキビ植えが楽になったという。会社勤めをしていて60歳からサトウキビ農家を引き継ぐ。「今の農業は将来はない、食べていけない時代になる」
 息子は後を継がないし「畑は売ってあんたの好きにしたらいいさぁ〜」と言われるが孫さらにはひ孫の時代になれば継ぐ時代がやって来るかも、そして農業が儲かる時代が来るかもしれないと代々受け継いできた土地を早々手放せない。

 40代会社員男性。父がキビ畑をやろうと思って買っておいた土地。
父親が体調が悪くなり、自分と奥さん子供でやっているが、昔は家のすぐそばに畑があり便利だったかもしれないが、家から畑まで距離があり、通うのも一苦労。休みの日は子供の行事や自分の趣味の時間に使いたい。誰も継ぎたいと思わないはずと本音を語る。

 40代で有機農業を営む男性は市の補助金はサトウキビ生産者適用の化学肥料、農薬がメインで、一部の有機肥料にも適用されるが他の種類・有機肥料にも適用されると有り難い。
全国でもオーガニック野菜を取り扱うJAも出てきているので宮古島は後世に繋がる農業・農産物ができると良いと話していた。

土地改良後の畑。リュウノヒゲを植えてからサトウキビの植え付けがされていた

 島の外に目を向けてみよう。あのSONYが気候変動、資源、化学物質、生物多様性の改善など地球環境に取り組む企業を対象とした投資ファンドを立ち上げた。
 例えば、地球上の様々なものをセンサーを使って計測判別し、AIで人々を取り巻く環境のメッセージをリアルタイムで伝え不都合なことが起こる前に未然防止する技術開発がある。テクノロジーを通じた地球環境への貢献で、これからも私たちが地球に居続けられる
には?を本気で取り組んでいる。
 私はビーチクリーンをやっているせいかどうしてもこの島の自然や海の生態系、地下水、気候変動などが気になってしまう。
 この大好きな島にこの先も住まわせてもうにはどうしたいいのか?
 基幹産業であるサトウキビを未来も作り続けることができるのか?
 人間優先ではない持続可能な島のあり方をいろんな角度で真剣に見ていきたいと思った。

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