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韓国「世紀の離婚」が暴いた政治と財閥の深い闇…妻が準備した「秘密資金」は財産分与の対象か

韓国の財閥会長とその元妻が、離婚に伴う財産分与をめぐって争った裁判が注目を集めている。

ソウル高裁が24日、破棄差し戻し審で元妻への財産分与額を約9440億ウォン(約1100億円)と認定したからだ。韓国では前例のない巨額の財産分与であり、茶の間の話題を独占しているが、裁判で争われたのは金額だけではなかった。

元妻側が結婚時に財閥側へ提供したと主張する約300億ウォンの秘密資金(裏金)を、財産形成への寄与として評価できるのかという極めて微妙な問題だった。

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花嫁の父が用意した「秘密資金」

争っている2人は、半導体大手SKハイニックスなどを傘下に持つSKグループ会長の崔泰源氏と、13代大統領・盧泰愚の娘・盧素英氏である。

盧元大統領は1987年の民主化を受けて大統領直選制を受け入れ、民主化への移行を進める一方、旧ソ連や中国との国交樹立を実現し、「北方外交」を推進したことで知られる。

崔氏と盧氏は1988年、盧泰愚の大統領就任直後に結婚した。世紀のカップルとして注目を集めたが、まもなく夫婦関係は悪化し、崔氏は婚外子をもうけたことを公表した上で離婚を求めた。

裁判では、2人の結婚後に飛躍的な成長を遂げたSKグループの財産形成に対し、元妻の盧氏が、どの程度貢献したかが争点となった。

その中で双方の主張が大きく対立したのが、盧元大統領が娘の結婚に際して用意したとされる約300億ウォンの秘密資金の扱いだった。

盧元大統領は退任後、在任中に財閥などから集めた巨額の裏金事件で有罪判決を受けた。捜査では秘密資金の総額は約4600億ウォンに上ると認定された。当時は借名口座などを利用して資金を管理することが可能だった。その一部を、嫁ぐ娘に持たせたようだ。

盧泰愚政権下では、娘の婚家となったSKグループ(当時・鮮京グループ)が移動通信事業や石油化学事業などへの参入で恩恵を受けてきた。さらに盧氏側は、父から渡された約300億ウォンの秘密資金がSKグループの企業買収などに活用され、その後の企業発展の土台になったと主張し、メモや手形の写真といった具体的な証拠も法廷に提出した。

韓国ドラマでは、政権と財閥が癒着し、巨大プロジェクトの認可と引き換えに秘密資金が動く構図がしばしば描かれるが、これは現実だった。

「違法資金」をめぐり揺れた司法判断

この約300億ウォンを財産形成への寄与として評価できるかについて、司法の判断は揺れ動いた。

2024年のソウル高裁判決は、この資金が違法に形成されたものであることを認めながらも、SKグループの発展に一定の役割を果たしたと判断し、盧氏への財産分与額を約1兆3800億ウォンと認定した。

2025年に韓国大法院(最高裁)は、高裁判決を破棄。違法な賄賂や犯罪収益は法的保護の対象とはならず、財産分与における寄与分として評価することもできないと判断し、審理をソウル高裁へ差し戻した。

今回の破棄差し戻し審では、大法院の判断に従って秘密資金の影響を除外して再計算が行われ、その結果、財産分与額は約9440億ウォンに減額された。

政界と財界を結ぶ華麗な結婚として注目を集めた2人だったが、韓国史上最大級の離婚訴訟へと発展。さらに裁判では、韓国社会における政財癒着という陰の部分も明るみに出された。

双方は大法院に再上告する権利がある。崔氏側は財産分与額をめぐり再上告する可能性を示唆しており、世紀の離婚裁判はまだまだ続く可能性がある。

文/内外タイムス 五味洋治

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