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世界の強豪は“2年”で変わる 森保監督「半年限定続投」は世界基準への布石か

異例の3期目は、あまりにもいびつな続投劇だった。

23日、日本サッカー協会(JFA)は森保一氏の日本代表監督続投を正式に発表した。ただし、その任期は来年3月まで。来年1月から2月にかけて開催されるAFCアジアカップ(アジア杯)サウジアラビア大会まで指揮を執り、その後は退任。現在、五輪世代を率いる大岩剛監督へバトンを渡すという。

強化策としてすでに前例も サッカー日本代表も“2チーム体制”を敷くべき理由

FIFAワールドカップ2026(W杯)北中米大会ではベスト32で敗退。改めて世界との差を痛感する結果となった一方で、選手個々の能力は確実に向上していることも示された。だからこそ、次に求められるのは代表チーム全体の底上げであり、そのための強化体制の見直しである。

そうした中で決まった今回の人事は、一見すると極めていびつだ。半年間だけの続投、アジア杯までの指揮、そして大会後の監督交代――。果たして、この異例の決定は「その場しのぎ」の人事なのだろうか。それとも、日本代表の強化サイクルそのものを変える第一歩なのだろうか。

代表強化につながりにくかったアジア杯

「半年だけ継続する意味はあるのか」「大岩監督の兼任は成立するのか」「外国人監督を招へいすべきではないか」。

事前報道に対しては、こうした否定的な意見が数多く聞かれた。だが、今回注目すべきなのは、森保監督が半年で退くことでも、大岩監督が後を継ぐことでも、日本人監督が続くことでもない。

重要なのは、「アジア杯終了後」という明確なタイミングで日本代表が新たなサイクルへ移行する点にある。

近年、アジア杯はW杯翌年の奇数年に開催されてきた。もともとはW杯翌々年の偶数年開催だったが、同年にはオリンピックや、サッカーにおいても欧州選手権(EURO)、南米選手権(コパ・アメリカ)といった世界的な大会が集中するため、それらとの日程重複を避ける目的で2007年大会から現在の開催方式へ変更された。

その結果、原則1期4年の新体制にとって最初の公式大会ではあるものの、大会終了から次回W杯までは3年以上もの期間が空くことになる。アジア王者を決める重要な大会である一方、W杯制覇を目指すチーム強化という視点では、決して直結する大会とは言い難かった。

しかし今回は違う。アジア杯終了後に監督交代することが決まっているからこそ、「アジア杯で得られた成果と課題を踏まえ、次の3年間をどう設計するのか」という議論を本気で始められる。これまでにはなかった、大きな転換点になり得る。

強豪国は「2年周期」で進化してきた

では、世界の強豪国はどうだろうか。

ヨーロッパや南米では、日本がこれから目指そうとしているサイクルが、すでに当たり前のものとなっている。

EUROやコパ・アメリカなどはいずれもW杯の2年後に開催される。つまり、EURO→W杯→EURO→W杯→EURO…と、2年ごとに代表チームが大きな国際大会で評価される環境にある。

だからこそ、監督も2年間で成果を求められる。象徴的なのが、2010年代のオランダ代表だ。

2010年南アフリカW杯で準優勝を果たしたベルト・ファン・マルバイク監督は続投したものの、続くEURO2012ではグループステージ3連敗で敗退。その責任を取り退任すると、ルイ・ファン・ハール監督が就任し、新たな2年間が始まった。

ファン・ハール監督は、自身の代名詞でもある5バックをベースにチームを再構築。ブラジルW杯ではスペインを5-1で破るなど快進撃を見せ、最終的に3位という結果を残した。

もちろん、監督を替えれば必ず成功するわけではない。それでも、「2年間で成果を評価し、必要であれば迷わず方向転換する」。そのサイクルを繰り返していることこそが、世界の強豪国が競争力を維持し続けている理由の一つと言える。

4年間を一人の監督に託し、ワールドカップだけを見据えてチームを育ててきた日本との違いは、こうした部分にも表れている。

半年間の続投は未来を見据えた布石か

さらに言えば、日本にも2年周期で代表チームを強化できる環境が整いつつある。

アジア杯は2027年大会を最後に、2032年から偶数年開催へ変更されることが決まっている。今後はEUROやコパ・アメリカと同じように、W杯の2年後に開催される大陸選手権となる。

今回の異例とも言える続投劇が、その未来を見据えた布石なのかは分からない。大岩監督が就任すれば、次回W杯まで3年以上という長い準備期間を手にすることになる。

それでも、2030年W杯以降、日本代表も世界の強豪国と同じように2年周期でチームを評価し、必要に応じて進化させていく体制を築くのであれば、今回の「アジア杯後の監督交代」は決して悪い選択ではない。

一見するといびつに映る今回の続投劇。だが、それが日本代表の強化サイクルを世界基準へ近づけるための第一歩となるのであれば、その半年間には十分な意味がある。

この異例の決断が、日本サッカーをヨーロッパや南米と肩を並べる存在へ押し上げる「テストケース」となることを期待したい。

文/加藤聡 内外タイムス編集部

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