「首相動静」に不記載で波紋…秋の臨時国会に向け、首相が読売の「主筆」と“密会”
高市早苗首相が読売新聞の主筆と“密会”していたことが物議を醸している。密会というのは、「首相動静」に記載されていなかったからだ。
孤独すぎてゴキブリと友だち…高市首相の「ゴキブリ話」が海外でも報道
発端は文春オンライン(文藝春秋)が報じた「高市首相の大手紙対策」で、読売新聞の老川祥一主筆が8月5日に首相公邸を秘密裏に訪問していた。分刻みで記録されているはずの首相動静だが、国民の目から隠されたこの不透明な動きに対し、SNSでは政権を批判する声が相次いだ。
《高市早苗批判の読売新聞を呼びつけてどう喝か。やってはいけないとわかっているから8月5日の首相動静に記述させない高市早苗》
《新聞社への圧力に屈するな!高市早苗首相が読売の主筆を公邸に秘密裏に呼んで「大手紙対策」とは、言論へのどう喝そのものだ》
《マスコミの主筆を官邸に呼びつける意味を高市早苗は理解しているのか。報道の自由を奪う暴挙だ》
これまでも首相とメディア幹部の会食は批判の的になってきた。歴代首相の中で有名なのは安倍晋三元首相で、読売や産経、フジといった保守色の強いメディアばかりではなく、毎日、朝日、共同、テレ朝、日テレなど全国メディアトップのほとんどと会食していた。そればかりか、中日(名古屋)、中国(広島)、西日本(福岡)など有力地方紙社長とも会っていた。
とはいえ、公式記録にすら残さない接触となれば話は別。権力との結託を疑われれば報道機関への信頼そのものが根底から揺らいでしまう。
読売新聞の「保守」としての矜持
では、高市首相の狙いは何か。消費税減税が最大の焦点となる秋の臨時国会に向けての布石と見る向きが多い。「女性自身」(光文社)の記事に読売新聞出身のジャーナリスト・大谷昭宏氏がコメントしている。
「高市さんは、消費減税も含めて、味方をしてくれるよう老川さんに懇願したと思います。しかし、読売が手のひらを返して高市さんを応援することは、これからもないと思いますよ」
大谷氏によれば、老川氏は温厚でバランスの取れた人物で、それほど自民党に肩入れしているわけではないという。確かに、最近の事例で言えば、読売は社説で「ICC所長制裁 米の暴挙から国際法廷を守れ」と高市政権の弱腰姿勢を強く批判していた。また、読売も他紙同様に、皇室典範改正や消費減税では政権を批判してきた。そこには「保守」としての矜持(きょうじ)があるのだろう。
安倍元首相がメディアのトップと積極的に会食していたのは10年前のことだが、世論形成の主戦場はSNSやネットメディアに取って代わられた。近年はオールドメディアと揶揄(やゆ)される新聞にそこまで影響力があるのか疑問だが、大谷氏はこう話す。
「痩せても枯れても、新聞にまだ影響力はあると思います。これから秋の臨時国会ですが、各紙が足並みそろえて消費減税に反対したら、おそらく来年の総裁選まで高市さんはもたないだろうという気はします」
高市首相にとって、朝日・毎日・東京新聞などに批判されるのは想定内で、おそらく何とも思っていないのではないか。実際、ネット世論で支持者らは「サヨクがまた何か吠えている」という反応だ。
しかし、戦後一貫して「保守」世論をけん引してきた読売に批判されるとなると勝手が異なる。読売に批判されれば、高市支持者はそれこそ“ネトウヨ”だけということになってしまう。
高市首相が掲げる「保守」の看板が揺らいでいる。
文/横山渉 内外タイムス






