北朝鮮でスマホ普及も5分ごとに自動スクショ、韓国風表現を強制修正 行動監視、思想統制に利用
北朝鮮では携帯電話の普及が進んでいる。携帯電話の加入回線は650万~700万回線に達すると推計されており、人口約2600万人に対して約4分の1に相当する規模になっている。中国製の基盤を使ったスマートフォンも広く普及している。
しかし、北朝鮮の一般市民はグローバルなインターネットに自由に接続することができず、利用できるのは国家が管理する国内ネットワークなどにほぼ限られている。
さらに北朝鮮製スマホには、未承認のアプリやファイルの利用を制限し、利用者の行動を記録・監視する機能まで組み込まれていることが、最近外部に持ち出されたスマホの解析から明らかになってきた。
北朝鮮では、スマホそのものが「デジタルの檻(おり)」「所有者の行動を監視するスパイ装置」と化している。
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インターネットに接続不可
同じ社会主義国である中国には「グレートファイアウォール」と呼ばれる大規模な検閲システムがある。政府が問題視するウェブサイトや情報へのアクセスが制限されている。市民は規制を受けながらも、国内外のインターネットサービスを限定的に利用している。
北朝鮮では、そもそも一般市民にグローバルなインターネットへのアクセスを認めないことが基本だ。アクセスできるのは国家が許可した情報空間(イントラネット)だけだ。
さらに、北朝鮮製スマホには、利用者が自由にシステムを変更したり、未承認のアプリやファイルを利用したりすることを難しくする仕組みが導入されている。
5分ごとに画面を記録
特に衝撃的なのが、スマホによる画面の自動記録である。
2025年に韓国側へ持ち出された北朝鮮製スマホを解析したところ、利用者が気づかない形で5分ごとに画面のスクリーンショットを撮影し、利用者自身がアクセスできない領域に保存する機能が確認された。
スマホで何をしていたか、何を見ていたかが端末内部に記録されてしまうのだ。
検閲は、文字入力にも及んでいる。
実機の解析では、韓国で年上の男性などを指す際に使われる「オッパ」という表現を入力すると、北朝鮮で使われる「トンム(同務)」に勝手に置き換えられ、警告が表示される。
また、「南朝鮮」という韓国を指す表現についても、「傀儡(かいらい)国家」といった北朝鮮側の政治的な呼称に置き換える機能が確認された。
韓国ドラマなどを自動排除
北朝鮮のスマートフォンには、動画や音楽などのデジタルコンテンツを検閲する機能も組み込まれている。
動画や音楽ファイルには政府が承認したというデジタル的なマークが埋め込まれており、このマークがない場合、携帯では再生できないうえ、端末によっては対象となるファイルを自動的に削除してしまう。対象となっているのはもちろん、韓国から秘密裏に持ち込まれた映画やドラマ、音楽などである。
北朝鮮はここ数年、新しい法律を作って、韓国を含む外国の映画、ドラマ、音楽などの流入、所持、視聴、流通などを厳しく取り締まっている。
しかし人間が外部世界に抱く好奇心や、他人の生活を知りたいという欲求まで完全に消し去ることは難しい。「デジタルの檻」の隙間を乗り越える方法が、いずれ編み出されるに違いない。
文/五味洋治 内外タイムス






