人材定着へ三本柱を提唱 宮古職安 「辞めない職場」へ転換

 宮古公共職業安定所(比嘉康所長)はこのほど、地域の深刻な人手不足に対応するための戦略を提示した。観光客数が24年度に過去最高の119万人を記録し経済は好調を維持する一方、同年度の有効求人倍率は1・78倍と全国や県平均を上回り、若年層の求職者が大幅に減少。60歳以上の高齢層が増加しており、雇用の質と安定を両立させる取り組みが急務であることから①人材の定着②採用の優先順位見直し③求人のやり方改善―を3本柱とした戦略を示した。
 比嘉所長によると三本柱のうち、特に定着策では、残業削減や休暇取得の促進、業務のDX化、省力化機器の導入による負担軽減を重視。特にこれまでの条件面ではなく、昨今よくみる離職理由として「体力的にこれまでと同じ業務が無理」「フルタイムがきつい」などそれぞれの体力やニーズに合わせた柔軟な働き方の導入が求められているとのこと。
 比嘉所長は「今いる社員の働きやすさを高め、辞めない職場づくりを進めることが重要。新採用に力を入れ、離職者を生まないことが本末転倒を防ぐ」と強調した。
 また採用対象を若年層に偏らせず、シニアや子育て・介護世代、外国人材など幅広い層に広げることを提案。求人活動では賃金や条件に加え、職場の雰囲気ややりがい、業務改善の取り組みなどを積極的に発信するよう呼び掛けた。
 また、6月には延べ828人が同職安を訪れており、その約4割が在職中の転職希望者だったことから、説明会やSNSなど多様な広報手段を用いて情報発信を強化する考えだ。
 さらに、国の「業務改善助成金」や「働き方改革推進支援助成金」を活用し、生産性向上投資と賃上げを連動させることも提案。同助成金による活用の例として飲食を取り扱う事業者では、食器洗浄機の導入による作業時間短縮や作業動線の見直し、手書き事務のデジタル化など具体策を例示し、申請には計画提出から実績報告まで時間を要するため早期着手を推奨した。
 同職安は「選ばれ続ける職場づくりが人材確保の鍵。助成制度も活用しながら、地域全体で働きやすい環境を整備していきたい」としている。

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