補助金返還問題について会員へ向け説明した宮古島観光協会の役員ら =平良港ターミナルビル

事業者守る覚悟示す 宮古島観光協会 会員説明会で経緯を報告

 宮古島観光協会(吉井良介会長)は11日、平良港ターミナルビルで会員説明会を開き、2022年度に県が実施した「観光事業者事業継続・経営改善サポート事業補助金」をめぐる返還問題について経緯を説明した。市内11事業者に総額約1120万円の返還が県から通知されたが、協会は「事業者に責任はなく、道義的責任は協会にある」として返還金を全額負担する姿勢を示した。会員からは「事業者に負担をかけない点は評価できる」との声が上がる一方、役員処分の重さを疑問視する意見も出た。
 県はコロナ禍と物価高騰で打撃を受けた観光事業者を支援するため、22年度に補助金制度を創設。協会は県の依頼で申請促進を図り、市内15事業者を取りまとめた。翌23年1月には東京・羽田空港で物産展を開催し、11事業者が参加。参加費用は協会が一時的に立て替え、補助金交付後に事業者が協会へ支払う仕組みだった。
 しかし協会は、実際の入金がない段階で「領収書」を発行し、県への実績報告書に添付。精算期限の23年2月末を過ぎても未入金が残り、国の会計監査で「事業期間内に協会への支払いが完了していない」と指摘された県は7月に交付取消予告を通知、8月に正式に返還請求を行った。
 同協会は8月8日の臨時理事会で返還金を積立金600万円と長期借入600万円で賄うことを決定し、事業者への請求は行わないと明言。会計上は25年度決算で特別損失として処理する方針だ。
 また、責任の所在を明確化するため専務理事の平山茂治氏を報酬3カ月10%減額、川満正寛事務局長を14日間停職(無給)とする懲戒処分を決めた。
 説明会の冒頭で吉井会長が会員へ向け謝罪し、平山専務理事は「事業者の皆さんにしっかり説明できなかったことが最大の原因。安易な事務処理を深く反省している」と陳謝。砂川靖夫副会長も「事業者に寄り添う姿勢が欠けていた。費用負担の話し合いを丁寧に行うべきだった」と述べた。
 会員からは「事業者に落ち度はなく、手続きが少し違ったとのことなので不正もなかった。責任を一方的に役員に負わせるのは重すぎるのでは」との意見が出る一方、「国からの指摘を受けて県が慌てて対応を変えた経緯もあり、協会だけの問題ではない」との指摘もあった。会員の一人は「事務局長や専務理事が努力していたことも理解している」と述べ、処分の妥当性を疑問視した。
 協会は現在、内部調査とあわせて事業者へのアンケートを実施中で、今月から来月にかけて結果を公表する予定。「再発防止のため事務局のチェック体制を一層強化し、監事・執行部による監督を徹底する」としており、事業者とマスコミ向けの説明報告も改めて開く考えを示した。

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