登壇した繩岡准教授が支援環境の整備などについて語った =3日、市未来創造センター内研修棟

自閉症・発達障がい理解へ 手つなぐ育成会 支援セミナーを開催

 NPO法人宮古地区手をつなぐ育成会は3日、未来創造センターで「障がい者支援セミナー」を開催した。市内の障がい者支援機関や就労支援事業所などから定員に達する60人が参加し、講師を務めた明星大学人文学部福祉実践学科の繩岡好晴准教授が語る自閉症や発達障がいの特性について学びと理解を深め、参加者同士の情報交換の場としても支援のあり方を再度認識する有意義な時間となった。
 このセミナーは、障がい者の福祉向上や地域での支援力強化を目指す取り組みの一環として専門家を派遣して、その特性および支援方法への理解を深めることを目的に実施された。
 セミナーでは繩岡准教授が「強度行動障害に係る内容 自閉症者への支援の基礎を学ぼう」と題して講義を行った。行動問題の背景にある特性や支援環境の整備について、具体的な事例を交えて解説した。
 繩岡准教授は「自閉症や発達障がいは一人ひとり異なり、支援の方法も画一ではない。理解することからすべてが始まる」と強調。認知や発達、行動の特徴を見極めたうえでアセスメントを行い、適応行動を引き出す環境調整が重要であることが説かれた。
 特に、物理的、視覚的構造化の手法を紹介した。それによると物理的な空間やスケジュールを整理して見通しを持たせることで、不安や混乱を軽減し、行動の安定につながると説明。その上で「どんな環境や関わり方なら本来の力を発揮できるのかを考えることが支援の基本」と述べ、参加者らは真剣に耳を傾けた。
 参加者からは「支援の現場で生かせる実践的な内容だった」などといった感想が寄せられ、現場での支援を見直す貴重な機会となった。

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