
「熱い思いが実現に」 伊良部大橋開通10周年記念祭式典 大浦さんら後輩へ「夢は実現する」
伊良部大橋開通10周年記念祭の式典が4日、伊良部公民館で行われた。伊良部架橋友の会初代会長だった大浦貞治さんらが伊良部大橋の実現に向けた国への要請や早期実現をアピールした爬竜船レースなどについて話した。当時を振り返り「夢の夢であり、実現しないと思っていた橋が開通した。国への継続した要請や熱い思いが大橋実現につながった」と述べ、青年らには「夢は必ず実現する。夢に向かって自信と勇気、誇りを持って頑張ってほしい」と呼び掛けた。
大浦さんは伊良部大橋の実現に向けた地域の機運を高める活動を牽引した。台風などで食べ物が届かなかった苦労や伊良部丸の遭難で命が失われたことを話し、「(当時の人は)夢の橋ができてほしいとの思いを持ち続けていた」と語った。
架橋友の会を結成し、宮古JCや観光協会、商工会議所の青年部と連携した国への要請も語った。「10周年の節目に後輩たちが先輩たちに負けないように頑張るという話を聞いてうれしい」と述べた。
元伊良部観光協会会長の長嶺吉和さんは、1992年に始まった早期実現をアピールする爬竜船レースを話した。青年部を中心としたレースはインパクトが強いものと考えた結果出てきたという。「17年続いたレースは5チームから19チームまで増えて盛り上がった。熱い思いが大橋の実現の成果になった」と振り返った。
伊良部架橋友の会のメンバーとして要請行動に加わり、住民の視点から橋の必要性を訴えた佐久川浩希さんは「構想から40年、当時の村長、町長らが一生懸命に活動した」と述べ、その流れを話した。
国への要請は何かインパクトのある行動をしようと考えて動いたという。実現には人脈や政治家の力を強調し、これらの行動で「やったという達成感がある。若い皆さんも達成感を味わってほしい。夢は必ず実現する。夢だと思っていた伊良部大橋ができた。子どもや孫に成果を伝えていく責務がある」と話した。
伊良部大橋開通10周年記念祭実行委員の洌鎌敏光さんは「皆の力で橋が架かった。あの時夢を語っていた人たちが諦めず信じ続けて形にした橋だと思う。島の先輩たちが叶えてくれた夢を次の世代に広げ、伊良部島に関わる全ての人が自信を持てる島にしていきたい」と語った。
嘉数登市長は祝辞で「開通以降、地域の発展と住民の生活向上に大きく貢献した。天候に左右されない移動手段が確保されたことで観光客の増加による地域活性化や医療、教育環境の向上にも成果をもたらしている」と述べた。