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福岡県が台湾有事念頭の支援策公開 沖縄・先島からの避難計画 災害対策基本法 一人1泊3食付き7千円
台湾有事を念頭に、沖縄県・先島諸島から住民ら約12万人を九州・山口県へ避難させる計画に関し、福岡県は17日、石垣市、宮古島市からの計約4万7千人を当初1カ月間、福岡県内7市に分散して受け入れる計画案を明らかにした。災害対策基本法ではホテルや旅館での一人1泊3食付きで7千円と想定された利用額など実態に合わせた相違点の課題を挙げた。国は3月末ごろ、各県の初期的な計画を取りまとめ、概要を公表する。
この計画は国からの要請に基づき、宮古島および石垣島からの避難民を支援するもので、避難者は福岡空港や鹿児島空港を経由して福岡県に到着し、初期1カ月はホテルや旅館で宿泊することを見通したもの。
福岡県によるとこの計画により、北九州市など6市は宮古島市から計2万383人、福岡市は石垣島から2万7014人を受け入れる。北九州市以外の久留米市では2千466人、大牟田市1千471人、飯塚市1千709人、田川市1千81人、朝倉市1千404人の宮古島市民を受け入れる予定。
宮古島市の約2万人は宮古空港から鹿児島空港に向かい、新幹線やバスで北九州、久留米、大牟田、飯塚、田川、朝倉の6市に運ばれる。石垣市の約2万7千人は新石垣空港から福岡空港に移動し、福岡市内に滞在する。
福岡県の受け入れる宮古、石垣の4万7千人のほか、国は九州の各県、山口県に住民を避難させるとしている。
ホテルや旅館では3食提供が基本で、災害対策基本法では一人1泊3食付きで7千円と想定しているが、福岡県によると県内の相場は素泊まりで1万2千円ほどと実態に合っていないことから、避難先のホテルなどの借り上げに必要な金額や、避難者を受け入れた宿泊施設側のキャンセル料の補償などについて検討が必要だとし、国との協議を進める予定だという。
一方、台湾に一番近い与那国町住民は福岡空港を経由して佐賀県に避難する計画。糸数健一与那国町長は昨年9月、受け入れ先の佐賀県庁を訪れて謝意を示しつつも、「避難して情勢がおさまったあとに100%の住民が戻ってくるのか一抹の不安はある」と語った。