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難航船出も原案可決 第2回臨時会 伊良部児童館建設に前進 議会承認で違法契約は回避
宮古島市議会(平良敏夫議長)は14日、第2回臨時会を開き、嘉数登市長が伊良部児童館建設事業の繰越明許費補正議案を上程した。嘉数市長は同議案の上程理由を「児童館建設事業において、執行予算の議会承認を得たうえで入札とすべき手続きを誤った」として、同事業費の確定に向けた議会承認を求めた。質疑では多くの議員から手続き不備の背景や再発防止策について問われ、担当部局が説明に追われたが、同案は全会一致で原案可決となった。
臨時会冒頭で嘉数新市長が初議会に向けて「宮古島市は少子高齢化や住宅不足などの課題を抱えている中でも、さらなる発展の可能性が高い」とし、「誰もが安心安全暮らせる島・教育機会に恵まれた人づくりの島・持続可能な経済の好循環を生む島づくりに向け、市民の期待と信頼に応えるべく、強い使命感を持ち職務にあたる」とあいさつし、議会は拍手で迎えた。
しかし、その後上程された嘉数市長の初義案は、伊良部児童館建設事業における行政手続きの不備による補正予算案となり、市長と担当部局は、議員から上がる多くの質問に対して答弁に追われた。
不備内容として、市は「本来、事業費の議会承認を得た上で児童館建設に向けた入札業務を行うべきだが、予算の繰越手続きを怠った状態で入札を行い、昨年末に請負業社と仮契約を交わしていることが判明した」と説明。
通常、予算未決のままでの入札および契約は地方自治法違反となり、同契約は無効となるところだが、その場合は「昨年12月末時点での工事契約が必須」とする補助金交付要項に抵触することから、児童館建設に対する補助金交付は無効になり事業執行が頓挫する。その対応策として、本臨時会において繰越明許補正への議会承認を求め、同議決を根拠として既存契約の適法性を担保する必要が生じた。
議員から再発防止策を問われた嘉数市長は「今後は一目で作業のフローチャートを再認識できるチェックシートの作成により、担当職員や管理職の見落としを防ぐ」と説明した。
初議案が行政手続きの不備による違法契約の回避という苦しい船出となった嘉数市長であったが、全会一致で議会承認を得ることができ、児童館建設に向けて前進することができた。