「幸福が実感できる沖縄を」 玉城知事が所信表明 離島振興に施策展開 県経済の再生などに重点
【那覇支局】玉城デニー知事は12日に開会した県議会(中川京貴議長)2月定例会で、2025年度の県政運営について所信表明を行った。玉城知事は「県経済と県民生活の再生」「子ども・若者・女性支援施策のさらなる充実」「辺野古新基地建設反対・米軍基地問題」の3つを特に重点的に取り組む考えを示し、「幸福が真に実感できる沖縄を目指し、誰一人取り残さない、沖縄らしい優しい社会の実現に向けて、職員と一丸となって、全身全霊で取り組んでいく」と述べた。
玉城知事は離島振興について「離島振興なくして沖縄の振興なしという考えの下、引き続き県政の最重要課題と位置づけ、交通・生活コストの負担軽減、防災体制の強化、医療体制の充実・確保など、移住定住の促進、関係人口の創出などに取り組む」と述べ、「下地島空港などの離島空港を活用した航空・宇宙関連産業の展開を推進する」と力を込めた。
離島地域の医療提供体制については「へき地医療拠点病院を拡充するなど離島診療所への医師派遣や専門医による巡回診療などによる体制の確保、離島患者の経済的負担軽減に取り組む」とした。
宮古、下地島両空港と平良港も候補になっている政府がインフラを整備する特定利用空港・港湾(特定重要拠点)制度については「整備に係る予算計上方法や整備後の運用などについて県民に強い不安の声があることから、政府に対し、しっかりとした説明を求めていく」と述べた。
自衛隊については「政府は南西諸島への配備を進めているが、米軍基地が集中していることに加え、急激な配備拡張による抑止力の強化がかえって地域の緊張を高め、不測の事態が生ずることを懸念している」とし、配備については「在沖米軍基地の整理縮小と合わせて検討することなどを政府に求めており、引き続き、軍転協などとも連携しながら、適切に対応していく」と意欲を示した。
沖縄戦終結から80年を迎えることには、「戦後90年、百年といった長期的な視点に立ち、『恒久平和に向けたビジョン(仮称)』の策定に向けた取り組みを推進するほか、沖縄戦の実相・教訓を正しく次世代に伝えていくため、平和祈念資料館のリニューアルに向けた取り組み、平和の礎の発信力強化、平和学習の充実、次世代へ語り継ぐ担い手の育成・確保などの取り組みを推進していく」とした。