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泡盛など日本の伝統的酒造りが無形文化遺産に登録された (撮影場所・市内西里)

酒造りがユネスコ無形遺産に認定 日本の文化的背景を評価 知事、泡盛の魅力発信へ

 南米パラグアイで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)政府間委員会は5日、日本酒や本格焼酎などの「伝統的酒造り」を無形文化遺産に登録した。沖縄関係では「組踊」(2010年)、パーントゥ含む8県10件の伝統祭祀で構成する「来訪神 仮面・仮装の神々」(18年)以来3件目。日本からの登録は22年の豊作祈願や厄払い「風流踊(ふりゅうおどり)」以来23件目となる。
 事前審査したユネスコ評価機関が11月に登録を勧告。伝統的酒造りの知識と技術が「社会にとって強い文化的意味を持つ」と指摘した。祭事や婚礼といった日本の行事に酒が不可欠で、酒造りが地域社会の結束に貢献しているなどとし、登録にふさわしいと結論付け、各地の風土に応じて杜氏(とうじ)や蔵人らが築き上げた独自の技術の価値が認められた。
 国内消費が縮小する中、関係者らは登録を機に輸出拡大や地域活性化、技術の継承につなげたい考えだ。
 伝統的酒造りは、カビの一種のこうじ菌を使い、蒸したコメなどの原料を発酵させる日本古来の技術。各地で杜氏らの手作業によって洗練され、継承されてきた。
 複数の発酵を同じ容器の中で同時に進める製法は世界でも珍しいとされ、この手法で造る酒には日本酒や本格焼酎ほか、もち米と焼酎を使って甘みを引き出す本みりんなどもある。
 一方で泡盛造りは「黒こうじ」を使うのが特徴で焼酎、日本酒とは違う固有の酒造文化を築いてきた。熟成させる「古酒」も魅力の一つだ。
 登録決定を受け、玉城デニー知事は同日、県庁内で報道各社の取材に応じ「泡盛の認知度が国際的に広がることで、観光振興の観点から大変意義がある」と語り、「沖縄の歴史や風土と合わせた文化的価値を広められるよう取り組む」と、泡盛の魅力発信に力を入れる考えを示した。
 政府は伝統的酒造りを21年に国内の登録無形文化財として選定し、翌22年にユネスコに申請した。
 日本の無形文化遺産は他に「歌舞伎」や「和食」などがある。政府は酒造りに次いで「書道」も申請しており、審査は26年秋ごろの見通しだ。
 また、アルコール関連の無形文化遺産には日本以外で「ベルギーのビール文化」やモンゴルの「馬乳酒」などがある。

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