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関心を持つ多くの市民らが聴講した =市未来創造センター内多目的ホール

水道水源原水からフィプロニル 地下水研究会 東添道、山川で検出 基準以下も健康リスク 市に請願、県へ緊急要請

 宮古島市の水道水源原水からフェニルピラゾール系農薬のフィプロニルが高濃度で検出されたことが30日、宮古島地下水研究会(共同代表=友利直樹、前里和洋、新城竜一)によって明らかにされた。フィプロニルは農薬類の中で最も厳しい基準を持つ物質の一つであり、発がん性など多岐にわたるリスクが指摘されている。東添道水源原水では1㍑あたり87ナノ㌘、山川水源原水では同17ナノ㌘と、厚生労働省の設定する管理目標値上限(1㍑あたり500ナノ㌘)のそれぞれ17%、3・4%に相当する。

友利直樹共同代表


 この検出値は10月までに行った農薬類精密検査を含む水質検査の結果として市水道部のホームページ内に記載されている。
 同研究会は同日、市未来創造センターで「地下水・水道水ネオニコチノイド系およびフェニルピラゾール計農薬複合汚染」をテーマにした健康講演会を開催。医学博士でもある友利共同代表は「これまでネオニコチノイド系農薬の健康被害について訴えてきたが、最も恐れていたのがフィプロニルの検出だった」と嘆いた。
 その上で「この成分の重要な毒性は発がん性だ。神経毒性、内分泌かく乱作用などそのリスクからEUでは2017年に、中国でさえも09年に使用禁止としている」と強調した。
 国はフィプロニルの1日摂取許容量を定めており、この結果からの検出値は特に乳児に対して健康被害が懸念されるレベルであるとのこと。
 その使用は、宮古島市で年間40㌧と全国出荷量の6%、県内出荷量の14%で最も多く、その供給の約90%が行政主導の補助によるものだという。
 友利共同代表はその管理目標値がクロチアニジンの400倍も厳しいことを指摘し、この農薬の使用による健康被害の可能性があるとし、この問題に対して原因究明が必要だと訴えた。
 このような背景を踏まえ、同研究会は市に対して、フィプロニルの定期的な濃度モニタリングの実施、高度浄水処理施設の整備、化学農薬に依存しない総合的害虫・雑草管理への移行など、緊急対策を11月18日に要請し、市は「国の基準値を大幅に下回っているので問題とは考えていない」と回答したとのこと。
 また、県保健医療部長へも上記内容とともに市に指導するよう要請。県保健医療介護部薬務生活衛生課は「水道法では水道事業は原則として市町村が経営することとされており、技術的な助言を行うこととしている」「宮古島市から水道施設の整備に対する支援の要望があった際は 補助金を活用した支援について検討したい」と回答したという。
 さらにこのほど同研究会は市議会へ請願書を提出。高機能活性炭浄水処理設備等高度浄水処理施設の早急な整備を陳情した。この要望は3度目となる。

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