出発前のオリエンテーションで研修の意義などを説明する福島特命教授 =市役所3階

体験から学ぶDEAL教育 特支校生徒の夢、実現へ 旅行通じバリアフリー考察

 島内外の教職員らは19日、埼玉県の特別支援学校の中学部生徒が作成した宮古旅行プランを代行で体験する研修「連合教職員大学院東京サテライトDEAL教員研修会」を実施した。この企画は自ら遠出できない子どもたちに代わって教職員らがコースを巡り、実際の体験をまとめて子どもたちに伝えるもの。教職員らは12班に分かれ、海中公園や砂山ビーチ、東平安名崎など宮古各地を夕方ごろまで訪問。きょう20日はパネリストを招いた講話やラウンドテーブルを実施し互いの実践から語り、聞き、学び合う機会となる。
 この研修は児童と教職員が協働で探求学習を行うことを目的とした事業で、市教育委員会と提携を結んでいる福井大学連合教職大学院が企画したもの。
 DEALとは「ディープ・アクティブ・ラーニング」のことで、教師の「主体的・対話的で深い学び」の実体験とともに他職種間で協働、探究、省察をしながら学びあう。
 昨年は東京都の保田しおさい学校の病弱とされる児童が作成した旅行コースを代行した。今回は中学部で肢体不自由な生徒がインターネット上の資料などを参考にして同様にコースを作成し、バリアフリーを目指した宮古島を巡るコースとなった。
 昨年は児童らの希望そのままとあってスケジュール調整が困難な部分もあったようだが、今回の生徒は身体的に行動に制限があるが、中等部ということもあり、綿密なスケジュールを計画した無理のない仕上がりになったとのこと。
 旅行コースは越谷特支校の生徒12人と3人一組4つのグループが作成した計16コース。午前9時ごろに県内外から参加した教職員が市役所に集合し、オリエンテーション後に班ごとで生徒が託したぬいぐるみとともに旅行コースを巡り、再度集合し、班ごとにレポートを作成。きょう行われるラウンドテーブルで別班と共有し、感動した感想とともにバリアフリーについて深く考える機会となる。
 企画を主導した同大学院の福島昌子特命教授は「この企画はバリアフリーしていない各所を実際に教職員らが巡り、どうやればバリアフリーに対応できるかなどの改善案を含め生徒に返し、さらに深く考える機会と新たな探究活動へとつなげる。さらに宮古島で気づきにくかったバリアフリーへの意識向上など、社会に問うこともできる」と趣旨を説明した。

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