加藤弁護士(右)らが弁護団活動について講演した =ブリーズベイマリーナ・コンベンションルーム

救済へ全国の被害者団結 B型肝炎患者が交流 次世代への活動継承目指す

 全国B型肝炎訴訟原告団(田中義信代表)は5日、市上野宮国のホテルで第5回「全国NGP(次世代原告)の集いin宮古島」を開催した。乳幼児期の予防接種による全国のB型肝炎被害者が集い、沖縄弁護団の講演や質疑を通し、現状を共有。また、被害を受けた参加者らが登壇し差別や感染により人生が変わってしまった体験などを発表。参加者同士で意見を交え、全患者の救済に向けての取り組みや理解、協力を団結した。
 同原告団は、乳幼児期の集団予防接種時において注射器の連続使用によりB型肝炎ウイルスに感染した被害者の患者団体。注射器の使い回し、輸血、血液製剤などで同肝炎にさせられた被害者の救済と医療環境の改善に取り組み、全ての肝炎患者が安心して暮らせる社会を目指している。
 はじめに田中代表が「弁護団と連携した16年間の活動を次の世代に引き継いでいきたい」と会の意義を強調し、「全国から約100人が集ってくれた。交流、意見交換などを通し、理解を深め、救済のためあすからも頑張っていこう」とあいさつした。
 講演では同弁護団の加藤裕団長が戦後の米軍占領下の本土復帰以前の歴史から集団予防接種における国の法的責任を追及。また、伊東秀胤(宮古島総合法律事務所)と米元悠(そらうみ法律事務所石垣事務所)の両弁護士が離島における弁護団活動を報告。
 全国では慢性肝炎が44%に対し、県では28%、離島では21%だが無症候性キャリアは県60%、離島65%と全国33%に比べて数字が大きいことを示した。
 アンケートでは「歯科医院で治療を断られた」といった答えもあり、日常的に差別や偏見、がまんを強いられる意見などを紹介。そういった患者へ手を差し伸べることの重要性を強調した。
 その一方で弁護士と顔の見える関係を築きやすく、カルテなどの入手や弁護団を気軽に紹介できる点、地元メディアの広報効果の高さも紹介した。
 その後、自身やパートナーが同じ原因で肝炎に罹患(りかん)し、高い医療費負担と差別を受けている現状などについて参加者らで意見を交え、まだまだ解決に時間が掛かる事案への救済に向けて気持ちを一つにした。
 一行はきょう6日は宮古南静園を訪問し、感染症全般に関する偏見差別問題を学ぶ予定となっている。

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