中学生が市当局に問題提起 子ども議会 議員24人素直な意見 6年ぶり3度目の実施
2018年以来6年ぶり3度目となる宮古島市子ども議会(市教育委員会主催)が30日、市役所内議場で開会した。市内11中学校から参加した24人の生徒らが市に対し、一般質問形式で政治や行政、学校のことなど身の回りの問題などについて中学生目線で市当局に質した。当局からは座喜味一幸市長、嘉数登副市長、大城裕子教育長らが答弁に立ち、質問に応じた。また、傍聴席には学校関係者や保護者が多く詰め掛け、満員に近い状態で生徒たちを見守っていた。
この取り組みは未来を担う子どもたちが地域や学校の諸問題について考え、自ら市政に提案する機会を創出するとともに、行政や議会、まちづくりに関心を持ってもらうことがねらい。29日に座喜味市長から各中学校の生徒代表一人ひとりに委嘱状が手渡されていた。
開会に先立ち、主催あいさつとして大城教育長は「島の未来を担うみなさんの考えをぶつけてもらい、それを市政に生かしたい」と話し、郷土愛を育むという同議会におけるもう一つのねらいを示した。
座喜味市長も「みなさんと一緒に宮古島市の未来について考えることができる幸せをかみしめながら質問や提案に答えたい」とあいさつ。さらに「議会が実りあるものになることを願う。宮古島をより良い島にしていこう」と子ども議員らに呼び掛けた。
市議会の長崎富夫副議長も出席し「大人と違う皆さんからの視点が楽しみ。市の課題解決のため、義務教育からの人材育成は非常に重要なものになる。本市の限りない発展のために子ども議会は続いてほしい」と願った。
開会した子ども議会は選挙第1号「議長の選挙」から始まった。選挙の結果、24年度子ども議会議長には松本琉汰さん(狩俣中3年)が当選した。
一般質問は通告制(事前通告)が採用され、津波など緊急時の避難誘導対策や宮古島の環境対策についてなどさまざまなジャンルの質問が用意された。
2番目に質問した親泊美優さん(上野中3年)は近年のホテル建設数増による環境に影響に不安を抱いており、「22年の時点で456件の宿泊施設が建てられている。新しい施設を建てることでその場所の自然が減っていくことが気になる。19年には無許可で海岸を工事したということも耳にしており、宮古の大事な自然が壊されているように感じる。今よりも制限を厳しくして自然を保てるようにすることは可能か」と市に投げかけた。
これに対し嘉数副市長は「宮古島の自然を守ろうという思いには非常に関心している」とした上で、「今現在でもホテル建設着工には市全体の公共利益を守るため多くの制限がある。公共の福祉に反しない限りは認めているので、ホテル建設だけが自然を損ねているのではない。制限以外にも水を無駄にしないなど市民一人ひとりにできることはたくさんある」と回答した。