「みゃ~くふつ」をつなぐ心 パーマー夫妻市長賞に輝く 第29回方言大会 若年層への伝承へ
第29回鳴りとぅゆんみゃーく方言大会(市文化協会主催)が14日、マティダ市民劇場で開催された。7組9人が出場し、自身の体験、考えなどを方言で発表。審査の結果、パーマー・マイケル(42)・園江(51)夫妻が最優秀にあたる市長賞に輝いた。教育長賞は城辺西東出身で浦添市在住の友利斉さん(69)、市文化協会長賞には城辺友利出身の西銘結衣さん(16)が選ばれた。大勢の来場者が宮古方言を楽しみ、会場はあふれんばかりの歓声に包まれた。
同大会は近年、若年層のみならず中年世代でも方言を話せない人が増えていることを危惧(ぐ)し、文化の基層を成す方言に今一度思いを深め「みゃーくふつ」の豊かさを共有し継承することを目的に開催されている。
開会式のあいさつで同協会の饒平名和枝会長は「方言にはそれが話された土地の歴史や文化が反映され、方言を捉えることでその言葉の変化過程を解明し、社会生活を解明することにつながるという。日本語の中に多様性が存在していることを認識し、先人が残してくれた故郷の言葉をつないでいきたい」と述べた。
「加治道若返り計画?」と題して発表したパーマー夫妻は、城辺比嘉の同地域を盛り上げ、若者が集まるためにどう地方創生すべきかを夫婦漫才で発表。Aコープ城辺店を中心に東京都の竹下通りのように「ブーズスタ通り」(サトウキビの下通り)と名付け、店舗を並べ、海岸線を発展させることを提案したマイケルさんに対し、園江さんが海岸線の発展は水着ギャル目当ての下心があるととがめ、マイケルさんが必死になだめるといった内容で会場中の笑いを誘った。
受賞を受けマイケルさんは「途中でセリフが飛んだが、妻のおかげで助かった。皆さんに笑ってもらい、たくさん勉強になり楽しかった」、園江さんも「練習中にはけんかもした。賞を狙っていたわけではなく楽しんでもらえればと思って頑張った」と感想をそれぞれ述べた。
友利さんは学生時代にきびしい寮生活の中で話した方言が心の支えになり、先輩とのコミュニケーションや仲間をまとめるにあたり役に立ったなどのエピソードを紹介した。
西銘さんは劇団かなやらびに入団し、舞台に立ち、公演を終えるまでのエピソードを作文にし、それを親類やとなり近所の人たちに教えてもらい方言に訳して発表。友人の友利琉月さん(昨年市長賞)の影響から参加を決めたとのこと。
宮國敏弘審査員長は「それぞれの背景を基に宮古方言に愛情を注ぎながら発表してもらい、年齢層も幅広く、可能性を感じた。そして観客の皆さんの温かく優しい会場づくりに感謝したい」と語った。同協会方言部会長の砂川春美副会長が参加者への謝意を示し、閉会のあいさつとした。
審査員特別賞の川満勝久さん(75)をはじめ出場したぴんなぎれいじさん(42)、新城重次さん(65)・立津和秋さん(63)、後閑美樹子さん(58)にはそれぞれ奨励賞が贈られた。