就職7割超がパート コロナ禍で急激に低下

 宮古公共職業安定所(嶺井仁所長)管内では2022年度、1684件の新規就職が決定。内訳はパートタイムが1193件、フルタイムが491件で、パートタイムが7割超を占めていることが8日までに分かった。18年度まではフルタイムが7割を超えていたものの、コロナ禍の影響で急激に低下。同様の傾向があった八重山は21年度から回復に転じた一方、宮古は低下が止まらない状況。生涯賃金や人材育成への影響が懸念される。
 コロナ禍以前の18年度までは、宮古のフルタイム率が沖縄県内で最も高かった。目立った低下は19年度から始まり、20年度には34・5%と半分以下に急減。八重山管内も18年度63・9%、19年度50・9%、20年度31・0%と同様の傾向だったが、21年度39・5%、22年度41・6%と回復に転じている。
 一方宮古では、21年度は36・2%とわずかに回復したものの、22年度は29・1%とさらに低下。県内でもっともパートタイムの割合が多くなっている。
 コロナ禍でパートタイムの割合が増えたことについて嶺井所長は「観光業が大きく打撃を受けたことが主な要因」と説明。「本島地域には多様な産業があるため、割合はそれほど変化しなかった。観光業が中心の先島は特に大きな影響があった」と述べた。
 八重山と異なり宮古で回復が見られないことについては「求職者のニーズとマッチしている側面もある」と指摘する。時給1000円以上で従業員を募集するコンビニエンスストアもあるなど、宮古のパート賃金は高騰している。嶺井所長は「最低賃金の求人は見向きもされない。掛け持ちで働けばそれなりの手取りを得られることが影響しているかもしれない」と述べた。ダブルワークにとどまらず、三つの仕事を掛け持ちする例もあるという。
 一方長期的に見た場合、生涯賃金や人材育成の面で問題が生じることを懸念。「正規雇用で安定して長く働いてもらい、キャリア形成の道筋を示すことも大切だと思う。老後のことを考えると、厚生年金と国民年金の違いもある。事業者は人を育てることについて、求職者は長期的な人生設計について、改めて考えてみてほしい」と訴えた。

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