故郷の海の豊かさ体験 狩俣中、8年ぶり追い込み漁
狩俣中学校(松本尚校長)の追い込み漁体験学習が23日、宮古島北方の八重干瀬で行われた。生徒たちは地元漁業者に教わりながら約200㌔を水揚げした。狩俣漁港では父母たちと魚をさばき、刺し身などに調理して海の幸を味わった。8年ぶりの実施となり、今後は学校、家庭、地域の連携・協働による持続可能な教育活動として再構築していく。松本校長は追い込み漁体験を通して「故郷の海の美しさや豊かさに誇りを持ってほしい」と話していた。
同校では安全に追い込み漁を体験するため、事前に外部講師を招いて生徒たちにプールや海でシュノーケリングの基本を教え、船舶から海に入る練習も行った。班は泳力などに応じて分けた。
この日は午前7時に狩俣漁港を出港。八重干瀬で生徒は漁業者に付き添われ、追い込み漁を体験しながら伝統漁法を学んだ。午前11時過ぎには帰港し、タマンやマブユ、オジサン、アオマチ、イラブチャ、アイゴなどさまざまな魚が水揚げされた。生徒たちはうろこを落とし、内臓を取り除くなど黙々と魚をさばいた。保護者らが刺し身や唐揚げ、魚汁を作り、昼食会で体験学習の成果を味わった。
指導した追い込み漁友利組の友利哲雄さんは、伝統漁法を教えることについて「最近の子どもたちは知らないと思う。教えるのは自分の義務だと思っている。学校の要望があれば続けたい」と話した。
中学3年のときに第1回追い込み漁体験学習を行ったPTA会長の佐渡山誠さんは漁業者でもあり「海の素晴らしさを知り、もっと身近に感じて興味を持ってもらいたい。できれば将来この中から1人でも漁業者が出てくれれば」と期待を寄せていた。
松本校長は追い込み漁を体験することで「自信や意欲、生活力を養いたい」と述べ、生徒たちに「自分たちの故郷のすごさ、美しさ、豊かさを感じることで将来頑張っていけるのではと思う。故郷の自然に誇りを持って守り、共存共栄する気持ちを持ってほしい。また地域の人たちが見守ってくれることも分かってほしい」と話した。