若年性認知症に理解を 宮古に家族会設立で記念シンポジウム
宮古島市で若年認知症家族会が立ち上がり、21日に初めての会合が開かれた。65歳未満で認知症を発症した人やその家族を支援するためのもの。設立を記念して20日、未来創造センターで、「若年性認知症になっても安心して暮らせる宮古島市を目指して」をテーマにシンポジウムが開かれた。宮古地区医師会の竹井太会長を座長に、立ち上げに協力した県外在住の4氏が事例や支援制度を紹介。若年認知症への理解や支援の輪が広がるよう呼び掛けた。
県の認知症医療疾患センター長も務めている竹井会長は「若年性認知症の家族会をずっと立ち上げようと思っていたが、なかなか実現に至らなかった。今日の日を迎えられたことをとてもうれしく思う」とあいさつ。全国若年認知症家族会・支援者連絡協議会などの支援で準備が進んだという。
シンポジウムでは同会の梅原早苗副代表理事のほか、支援に携わっている多田美佳さん(岡山県)、中川絵里子さん(三重県)、中島七海さん(福岡県)の4人が講演を行った。
夫が若年認知症を発症したという多田さんは、社会的認知度が低いため支援がなかなか受けられない現実や、2人の子どもが介護のため学業などに支障がでる、いわゆる「ヤングケアラー」に陥ってしまう事態に直面した体験を紹介。
本人の「走ってみたい」という希望を尊重し、家族を再構築するため、3人1チームで出場する伴走イベントに参加。「声を出せば誰かが助けてくれることを知り感動した」と、長男の心境に変化があったという。本人の思いや家族の声を橋渡ししながら、支援に取り組む必要性を説いた。
中島さんは本人が物忘れに気づいていることや、心身の変化に苦悩していること、家族や周囲に打ち明けられずにいることなどを紹介。中川さんは家族会が心の拠り所となり、仲間がいる安心感が心身の安定につながったと話した。また2人とも、宮古の家族会が前向きに生きて行こうと思える場となるよう協力を呼びかけ、発展に期待を寄せた。
梅原副代表理事は、若年認知症専門員について説明。本人のプラス面を生かした自発的で自主的な支援や、家族支援・地域連携を含めた社会的支援を開拓する若年認知症に特化した支援員で、オンライン講習も開催されている。