3年ぶり一堂会し演奏 「さんしんの日」で各団体
「さんしんの日」の4日、県内各地をはじめ海外でも愛好者たちが集い、時報に合わせて一斉に「かぎやで風」を演奏するなど三線を高らかに響かせた。新型コロナ感染症の影響で宮古島市の民謡団体でも十分な活動ができず、「さんしんの日」も中止や規模縮小などが続いていたが、この日は3年ぶりに大勢が一つの会場に集まって演奏会を開き、三線の演奏を楽しんだ。
●宮古民謡保存協会
宮古民謡保存協会(砂川次郎会長)の「さんしんの日大演奏会」は午後2時から、JAおきなわ宮古地区本部大ホールで行われた。コロナ禍のため協会としては3年ぶりの開催。久しぶりの演奏会には約100人が参加して先人から歌い継がれた宮古民謡を中心に演奏を楽しんだ。
ラジオ放送の午後2時の時報に合わせて一斉に「かぎやで風」を演奏。爪弾く三線の音色と歌が会場に響き渡った。引き続き「豊年の歌」「米のあら」「なりやまあやぐ」「家庭和合」「古見の主」など宮古民謡を演奏した。
三線を始めて15年という76歳の女性は「全然集まれなかった。みんなで集まって歌うのはやっぱり楽しい。民謡は歌詞が良いところが魅力」と話した。
城辺福里で民謡研究所を営む久貝哲雄さんは「最高に嬉しい。コロナで生徒もなかなか来られなかった。演奏をしないと三線を忘れてしまう。みんなで合奏する時間を作ることが大切」と話していた。
3年ぶりの演奏会に砂川会長は「長く休んでいたので参加者も少ないと思ったが、予想以上に集まって盛り上がっている。コロナで会員が減っていた。これを機会に増えてほしい」と笑顔を見せた。
●宮古民謡協会
宮古民謡協会(渡久山吉彦会長)の「さんしんの日」演奏会は午後6時から荷川取公民館で行われた。過去2年間はコロナ禍のため役員による演奏を動画で配信していたが、この日は多くの会員が一堂に集い、三線の演奏を楽しんだ。
ラジオの午後6時の時報に合わせて「かぎやで風」を三線で演奏。その後は「豊年の歌」「なりやまあやぐ」「とうがにあやぐ」「大世栄」「池間ぬ主」など先人から受け継がれてきた宮古民謡を徳八流太鼓保存会松堂亨研究所の太鼓とともに歌い奏でた。
下地で三線教室を開いている宮城育子さんは「みなで集まって『さんしんの日』をできて良かった。教室も再開してはすぐに感染が増えて休んでいた。これからも上達できるよう頑張りたい」と話した。
渡久山会長は「コロナの影響で会員が減っている。4月にはとうがにあやぐ大会、7月は民謡コンクール、10月には芸能祭を予定している。今年は万全な体制で取り組み、会員を増やせるよう頑張りたい。『さんしんの日』は民謡をやる人にとって一番大事な日。『さんしんの日』をきっかけに協会の活動を活発にしたい」と話していた。
●沖縄宮古民謡協会
【那覇支局】語呂合わせで「さんしんの日」の3月4日、沖縄宮古民謡協会(天久光宏会長)は豊見城市中央公民館で「さんしんの日」に合わせた演奏会を開催した。会場では同日に開催されている「第31回ゆかる日まさる日さんしんの日」(主催・琉球放送など)の中継に合わせて、午後2時に「かぎやで風」を演奏した。会には演奏、踊りなどで約80人が参加した。
天久会長が「きょうは三線を楽しく弾いて、大いに楽しもう」と参加者に呼び掛け。三線の演奏者が宮古民謡の「豊年の歌」、「池間ぬ主」、「なりやまあやぐ」などの音色を響かせ、各研究所の人々が三線や太鼓の演奏に合わせて宮古や琉球舞踊を披露した。演奏会は2部形式で幕開けの「かぎやで風」からフィナーレの参加者全員が踊る「漲水のクイチャー」まで20曲で構成され参加者は高らかに歌い演奏し、クイチャーを踊った。
天久会長は「宮古民謡は素晴らしい歌がたくさんあるにも関わらず、まだまだ全国に広まっていない。さんしんの日を契機にもっともっと力を入れて宮古民謡を全国津々浦々まで広めていきたい」と話した。