伊良部で乗合いタクシー 市、新たな公共交通検討
宮古島市(座喜味一幸市長)は15日から来年2月末まで、新たな公共交通検討事業として、伊良部地区を対象に乗り合いタクシーの実証運行を行う。公募で選定され委託を受けた双日(本社東京都、藤本昌義代表)が5日、東地区構造改善センターで地元事業者向けの説明を行い、事業への理解と地域住民への周知に協力を求めた。運賃は伊良部島内1人1回500円。午後6時から9時半までは市公設市場前まで運行し、料金は1回1000円。
宮古圏域の入域観光客数は回復傾向にあり、年末年始に向けて増加が見込まれるが、タクシーやバスなどの二次交通不足が指摘されている。なかでも伊良部地区は大橋開通や下地島空港ターミナル供用開始以降、宿泊施設から島内のタクシー拡充を望む声がある一方、高齢化や人口減の中で住民の移動手段確保も課題となっている。
15日から実証が始まる相乗りタクシー「チョイソコみやこじま」は、タクシーと路線バスの中間的なサービス。ウェブや電話(050・201・73255)で予約をし、伊良部島44、下地島4、宮古島1の計49カ所の停留所間を運行。ルートは定まっておらず、予約状況に応じた最短距離を移動する。時間は自由に指定できるが、希望通りにならない場合もある。最大8人乗りのジャンボタクシー2台が運行する予定。
路線バスとの共存を図るため、午前10時から午後6時までの出発分は、伊良部・下地島内のみ利用可能。午後6時から9時半までは宮古島市街地の市公設市場前まで運行する。
伊良部地域内での利用を対象に、運賃が300円になる島民割引もある。事前に郵送などでの会員登録が必要で、申込用紙が付随したパンフレットが地域内のスーパーなど人の集まる場所に配布される予定。年長者と同乗する場合に限り小学生以下は無料。
説明会に訪れた事業者からは「免許を返納した高齢者などの通院・買い物などが便利になる」、「年末年始にかけて増える観光客にとって移動の選択肢が増えるのはありがたい」、「宮古で飲み会などをした帰りの足に使いたい」などと事業を歓迎する声があった。
同事業は三菱地所が市に寄付をした企業版ふるさと納税990万円を財源に実施される。