島の今を見つめ、これからを 伊良部商工会 自然・文化の継承で意見交え
伊良部国仲の市女性・若者等活動促進施設でこのほど、市伊良部商工会主催の「島を漕ぐ伊良部島 伊良部地域のこれまでと、これからを語る会」が開かれ、地域住民や関係者らが参加した。沖縄総合事務局知財室の支援で3年目となる伊良部島地域ブランディング事業の一環で、さとうきび産業の変化、人口減少、開発と自然保全、文化継承など、多岐にわたる課題と展望を共有。会では展示資料や写真を基に過去と現在を振り返り、ゲスト3人が地域の歩みと将来像を語ったほか、参加者からも意見が寄せられた。

冒頭、同商工会の事務局代表で経営指導員の伊波幸則氏が事業の趣旨を述べ、主催者を代表して豊見山貴仁副会長があいさつした。続いて、(一社)デザインイノベーションおきなわ理事の?田謙氏が、人口減少や事業所数の減少、観光需要の取りこぼし、開発と住民意識の乖離など、地域が抱える課題を示し、取り組みの方向性を説明した。
第1テーマ「昔と比べた今の伊良部地域」では、渡久山毅氏がさとうきび産業の変化を挙げ、「ドローン散布やGPS活用の無人トラクターなどスマート農業が進み、3Kから『感動・格好いい・稼げる』産業へ変わりつつある」と述べた。伊志嶺徹氏は、岩の名称や文化伝承の重要性を語り、海を思う自作の歌を披露した。平良加代子氏は、船の往来が生んだ地域コミュニティが伊良部大橋の開通で希薄になった現状を指摘し、人と人のつながりの再構築を訴えた。
第2テーマ「これからの伊良部地域」では、平山茂治氏が下地島空港の可能性に触れ、「観光や交流人口を生む空港は島の宝」と強調。参加者からは「自然と文化を次世代へ残すには、地域が共に学び共生する姿勢が必要」との意見が出された。
プロジェクトメンバーの吉浜祟浩氏は、サバニやクジラの頭部骨などの展示物、地域の古写真を用いて伊良部島・下地島の自然環境の変遷を紹介。入江の消失や景観の変化を具体的に示し、地域の歴史を共有した。
閉会にあたり伊波氏は「若年層の参加がなかったことは課題。世代を超えた意見交換の場づくりを進めたい」と述べ、事業の継続と成果の共有に意欲を示した。同会での映像や資料は市や関係機関へ提供する予定とのこと。


