住民を島外へ避難させる際の保安検査や誘導方法を検証した =18日夜、宮古空港

先島避難計画の実効性探る 宮古空港で国保実地訓練

 県と宮古島市、内閣官房、消防庁は18日、宮古空港で国民保護に係る実地確認を行い、避難住民を航空機で島外に移送する際の動線や所要時間を検証した。市職員や関係者ら約100人が住民役として参加し、車いす利用者や酸素ボンベが必要な要配慮者の誘導を重点的に確認。空港での実施は昨年9月の石垣市に続き県内2回目となる。保安検査やQRコード読み取りなど一連の流れを計測し、課題を洗い出した。
 訓練は、台湾有事などの「武力攻撃予測事態」を想定した県の避難計画に基づき実施した。計画では、先島諸島の住民約12万人を6日間で九州・山口方面へ避難させるとしており、実地で動線を確認することで計画の実効性を高める狙いがある。
 この日は、空港から直線距離で約400㍍離れたJTAドーム宮古島に「住民避難登録センター」を設置した想定で開始。参加者は登録手続き後、バス4台で空港へ順次移送された。視覚障がい者や歩行が不安定な参加者も加わり、誘導方法や配慮すべき点を確認した。
 空港では、臨時の保安検査場を通過して搭乗待合までの動線を検証。班ごとに分かれて移動し、係員がパーティションによる経路の明確化や、カラー識別バンドの着用など、昨年の石垣市での実地確認を踏まえた改善策も試行した。
 午後9時45分に全班の保安検査が終了し、9時50には搭乗に必要な紙(QRコード)の読み取りが完了。案内や誘導に要した時間を計測し、混雑状況やバリアフリー対応の課題を整理した。全行程は午後10時に終了した。
 終了後、嘉数登市長は「おおむね想定通り進められたが、QRコードが読み取りにくい場面もあり改善点が見えた。要配慮者の誘導については特に丁寧な検討が必要だ」と述べた。
 県は今回の検証結果を踏まえ、来年1月に予定する図上訓練に反映させる方針。

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