パネルディスカッションに登壇した有識者の皆さん =21日夕、前里添多目的施設(提供)

橋で変わる島、心で守る文化 伊良部商工会 方言と記憶を語り継ぐ

 市伊良部商工会が取り組む伊良部島地域ブランディング事業の一環として、「島を漕ぐ伊良部島―伊良部地域のこれまでと、これからを語る会」が21日夕、前里添多目的施設で開かれた。地域住民約30人が参加し、地域の伝統文化や食文化を通じて、島民の誇りや愛着を再認識することを目的に実施。登壇した有識者からは多様な意見が述べられた。また、宮古島千年プラットフォームの久貝正樹理事長が支援の仕組みを紹介し、地域住民による行動の輪を広げるよう呼びかけた。

会場には島のの伝統文化や祭祀を改めて紹介するパネルも並べられた(提供)


 同ブランディング事業は沖縄総合事務局知的財産室の支援を受けて3年目となる取り組み。デザインイノベーションおきなわが共催し、島のコンセプトやビジョンを策定しブランド化を通じて伝統文化の継承や特産品の開発、島内消費の促進など持続的な発展を目指すもの。
 趣旨説明では、同商工会の伊波幸則事務局代表が伊良部大橋開通後の観光振興と地域経済の課題に触れながら、「観光客だけでなく、島民が誇りをもって住み続けられる地域づくりを進めたい」と述べた。
 登壇した中村雅弘さん(伊良部地区地域づくり協議会会長)ら5人からは方言を交えながら、文献には残らない昔の暮らしや祭事、学校生活が語られた。
 中村さんは旧佐良浜中学校が「サバウツガー」にあった時代を紹介し、佐久本茂樹さん(佐良浜文化協会会長)は「昔は船で通学し、平良港で通行料1セントを支払っていた」と当時を振り返った。
 元伊良部商工会長の大浦貞治さんは青年団の活動や島内運動会の思い出を披露し、普天間一子さんは祭事「カンニガイ」での役割を語り、「伝統を守るためには決まりを柔軟に変えながら続けることが大切」と訴えた。長嶺吉和さんは、約250年続くミャークヅツの司親としての経験を紹介した。
 伊波事務局長は「今回はアウターブランディングではなく、島の内側のつながりを重視した。地域の人が語り合うことで信頼が生まれ、文化や言葉が次世代に受け継がれる」と語った。
 なお、伊良部南区での会は11月18日に国仲の女性・若者等活動促進施設で行われ、渡久山毅さん、伊志嶺徹さん、平良加代子さんらが登壇し、住民と意見を交える。

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