
現場から見える更生支援 那覇保護観察所 三位一体で明るい社会へ
那覇保護観察所主催の2025年度協力雇用主事例研究会が16日、未来創造センターで開かれた。会場となった多目的ホールには宮古保護区協力雇用主の事業所関係者らが参加し、就労支援制度や県内の雇用情勢、事例などを共有。更生保護や就労支援の重要性について理解を深め、地域全体での立ち直り支援のあり方を考えた。
協力雇用主とは、犯罪や非行をした人(刑務所出所者など)の事情を理解した上で雇用し、自立と社会復帰を支援する事業主のこと。宮古島でも多くの事業所が登録し、地域の安全・安心の確保に貢献している。
宮古保護区協力雇用主会の宮里敏男会長は「対象者が減っているのは地域として誇らしい。大人としての責任として犯罪をなくしていくこと、そして対象者を雇用することも義務感を持って取り組むべき課題だ。改めて理解を深めてもらいたい」とあいさつ。
宮古保護区保護司会の儀間健副会長も「『社会を明るくする運動』作文コンテストでも宮古から多くの子どもたちが入賞した。皆さんの協力のたまもの。今後も三位一体(さんみいったい)の連携で地域を支えていきたい」と述べた。
研究会では、那覇保護観察所の諸藤佑季保護観察官が「更生保護および就労支援制度の概要について」と題して講話を行い、出所者の就労定着支援の仕組みや関係機関との連携の流れを、動画を交えて分かりやすく紹介した。
続いて、宮古公共職業安定所の佐藤誠治上席職業指導官が「沖縄県の雇用情勢、出所者専用窓口への登録およびトライアル雇用制度について」を解説。「宮古島の8月の有効求人倍率は1・61倍で、宿泊・飲食サービス業などを中心に求人が増加している」と現状を報告した。
NPO法人沖縄県就労支援事業者機構の大盛勝仁事務局長と上原順子就労支援員も登壇し、「更生保護就労支援事業所の概要と事例発表」を行い、雇用現場での支援事例や企業と支援機関の連携の在り方などを紹介し、具体的な支援の取り組みを通して、協力雇用主の果たす役割の大きさを共有した。