モズク生産者とレジャー業者が共存への海面ルールについて協議した =9月30日、宮古島漁協

ユニの浜の利用ルール協議 漁業と観光の共存へ第一歩 話し合い参加呼び掛け

 宮古島漁業協同組合(井上博基組合長)は9月30日、「ユニの浜に係る久松地区海面利用の話し合い」を開き、モズク生産者とレジャー業者らが参加し意見を交わした。観光客の増加で利用が広がるユニの浜と、モズク養殖が盛んな久松沖の海域を巡り、操業への影響や安全面の課題を共有し、漁業と観光の共存を模索。さらに、共同協議会の立ち上げを新たに提案。協力体制の強化に向けた議論も行われ、双方の事業者に対し加入を強く呼びかけた。
 ユニの浜は、伊良部大橋を渡り、伊良部島から下地島に向かう途中に見ることができ、潮の満ち引きによって出現する砂山を指し、その神秘的な景色を体験できることから、「幻のビーチ」として観光客に人気のスポットだ。
 今回、話し合いに参加したレジャー事業者は7社。だが、漁業者側によるとユニの浜を利用しているレジャー事業者は推定20~30はいるという。
 同漁協によると久松地区では毎年11月から2月末にかけてモズク網が年間8000ほど設置されているが、レジャー船の航行による網の破断事故も発生しているとのこと。
 生産者側は網の損傷は深刻だと訴えるとともに、干潮時前後3時間の航路利用自粛を要望。船が通過すると砂の巻き上げで網に雑草が付着し、モズクの生育に影響を与える上、網の破損にもつながるため、こまめに網の掃除が必要となると説明し、二次被害を嘆いた。
 一方、レジャー事業者は「漁業活動に配慮しながら利用する姿勢は一致している」としつつ、具体的な区画や航行ルールの明示を求めた。
 話し合いでは網の設置場所や浜へのアプローチ方法を地図で共有し、ユニの浜南側からの上陸禁止を確認。観光客への周知やステッカー制度の導入に加え、今月中に新たな航路を設置し、全てのレジャー業者に厳守を求める方針も示された。
 また、漁業含む生産者とレジャー事業者の合同による共同協議会の発足が提案され、未加入の事業者に対し加入と周知の協力を求め、強く呼びかけた。
 井上組合長は「漁業と観光が互いに理解を深め、秩序を守って利用できる体制をつくりたい」と強調。今後も協議を継続し持続可能な海面利用の在り方を探る考えを示した。
 新規窓口は宮古島漁協(72・2029)の井上組合長が担う。次回の話し合いについてはまだ未定とのこと。

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