当局が全員協議会で宿泊税条例の制定議案について説明した =全員協議会室

宿泊税条例議案を追加上程 市議会定例会 観光の施策費用に充てる

 開会中の宮古島市議会(平良敏夫議長)9月定例会は22日、宿泊税条例の制定についての議案が追加提案された。観光振興と持続可能な地域づくりを財源面から支える目的で宿泊料金に応じて課税する仕組みを定めたもの。嘉数登市長が提案理由を説明したあと質疑があり、議員からは課税標準や税率に加え、免除対象の範囲や学校現場の事務負担軽減などの質問があった。同議案は負託した総務財政委員会で審査し、30日の最終本会議で委員長報告、質疑、討論、表決が行われる。

議場で質疑に応じる嘉数市長


 追加提案された宿泊税条例の制定についての議案は、議会運営委員会で22日提出となっていることや一般質問のあとに議案上程、質疑などを行うとの説明があり、その後開かれた全員協議会で当局が説明した。
 提案理由は、島の未来を担い産業の発展を支え、観光客および住民双方の満足度向上を生み出し観光振興を目指し、持続可能な観光地づくりのための受け入れ体制の整備、良好な景観の保全及び活用、その他観光に関する施策に要する費用に充てるため宿泊税を課するには条例を制定する必要があるとした。
 説明のあと質疑には3人の議員が立った。課税標準や税率に加え、免除対象の範囲や学校現場の事務負担軽減について意見が交わされた。
 条例については観光産業を下支えし、住民生活や環境保全につなげることを趣旨としていると説明。課税標準は「1人あたりの宿泊料金」とされ、宿泊料が1万円ならその額を基準に課税、100万円を超える場合は10万円を上限とするとしている。
 税率は1・2%で条例・規則に基づき市税と県分(0・8%)を組み合わせて運用される。宿泊と一体で提供される飲食などの扱いは引き続い整理がされるという。
 質疑での免除規程(第4条)に関しては、小中高生らの教育・文化・スポーツ活動を確実に対象に含めるようにとの要請があった。検定試験、書道やバスケットボール、サッカーなど遠征で児童生徒に不利益が及ばない仕組み作りを求めたほか学校職員らに過度な負担を強いることがないよう申請方法の簡素化も要望。宿泊費高騰や市町村からの通院支援拡充の要望に対応できる制度設計も課題に挙げられた。
 宿泊税条例は、県議会9月定例会の18日本会議で全会一致により可決した。2026年度中の導入を目指し、宿泊料金の2%課す「低率制」を採用、徴収は1人1泊につき2千円を上限とする。都道府県単位での低率制の宿泊税の導入は全国初。年間で約77億8千万円の税収を見込んでおり、観光人材の確保や景観保全、二次交通対策などに充てられる。
 税収配分は県と市町村で基本「1対1」だが、独自導入する宮古島市や検討ししている石垣市、本部町、恩納村、北谷町の5市町村は「3対2」の割合となる。

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