
住宅不足に本格調査 琉大×北斗が実態把握へ 旧平良庁舎 オフィス需要と住宅供給
深刻化する宮古島市の住宅不足をめぐり、琉球大学と北斗不動産グループ(本社・埼玉県所沢市)はこのほど、賃貸住宅の事務所転用が住宅供給に与える影響について実態調査を行う共同研究契約を締結した。市内で進む賃貸住宅の事務所転用が住宅ストックに与える影響を調査・分析し、同グループが手がける旧平良庁舎再開発によるスモールオフィス整備が住宅不足解消に与える効果も併せて検証。学術機関と民間が連携して地域課題の構造的な把握に乗り出す。
調査研究の正式名称は「宮古島における非住宅用途不動産の利用実態と住宅問題解消に向けた調査研究」。監修は琉球大学国際地域創造学部の獺口浩一教授が担当し、同グループは自社で保有・管理するデータの提供と、旧庁舎再開発に関わるフィールド情報を活用する。
宮古島市は観光需要の拡大に伴い地価や建築コストが上昇し、住宅着工数が減少している一方、オフィス需要も増すなかで浮上しているのが、賃貸住宅のオフィス転用問題。市内には本格的なオフィスビルが少なく、島外から進出した事業者が賃貸住宅の一室を事務所として使う例が少なくない。こうした用途転用が住宅供給を圧迫し、住宅不足に拍車をかけている可能性が指摘されている。
共同研究では、獺口教授の監修のもと、▽賃貸住宅の非住宅転用の実態▽旧平良庁舎の再開発による事務所移転の傾向▽転出後の住宅の用途変化―などを調査・分析する。
研究結果は、将来的に公共不動産や民間物件の用途整理・再配置に役立つ知見として、市街地再開発の指針策定にも反映される見込み。
北斗不動産グループは「世の中の『不』を解消する」を理念に掲げ、地域密着型の不動産開発を展開。宮古島では、旧市役所庁舎を複合施設として活用する「旧平良庁舎再開発プロジェクト(PFI)」に取り組んでおり、今回の研究成果を通じて、ビジネスインフラの整備と市民の住宅確保の両立に貢献したい考えだ。