
下水道料金143件未徴収 市が謝罪、総額190万円超 市長「けじめをもって対応」
市環境衛生局下水道課は28日、市役所で記者会見を開き、2020年度以降の下水道料金において未徴収案件が143件見つかったと公表した。うち、金額が確定している130件の未徴収額は総額190万2284円に達し、最小330円から最大20万6184円まで幅広く、1件あたり平均1万3905円。残る13件については使用開始届が未提出のため使用開始時期が不明。未徴収額は現在も調査中。市は「組織的な不備が重なった結果」として謝罪し、再発防止策を講じる方針を示した。
今回の未徴収は、下水道課での業務の遅れや不備が契機となり、6月中旬から過去5年分を調査したことで判明した。内訳は、施工業者の書類提出が遅れたことで使用開始日とシステム入力日に相違が生じた63件の112万1626円、市担当者による書類紛失や検査立会いの遅れなど事務処理の遅延による67件の78万658円で、いずれも「加入済み」に分類される。さらに、施工業者から完了届や使用開始届が提出されていなかったため未加入となった10件、開始届不明やメーター番号の誤りによる3件も確認されたとのこと。
経緯については、6月末に課長が局長へ報告、7月9日には局長・課長が市長および副市長に状況を伝えていた。市は、加入済み案件は金額が確定していることから公表に踏み切った。未加入13件は調査が続いており、金額が判明し次第報告される見通し。
今後の対応として、市は対象者に対し戸別訪問を行い、謝罪と説明の上で納付を求める。支払いは一括もしくは分割を選択でき、転居などで訪問が難しい場合は文書で案内する。未加入分については施工業者や接続者からの聞き取りを行い、上水道データとの照合で使用開始時期を確定し、時効に達していない分について徴収する。納付方法は、金融機関での納付書払いか市の現金取扱員への現金払いを選択可能とした。
再発防止策として、施工業者に対しては申請書受理時に必ずデータ入力を行い、定期的な進捗確認を徹底する。市内部では主担当者に加えて副担当者を配置し、二重チェック体制を導入。さらに、申請受付から調定処理までのチェックリストを作成し、業務の抜けや漏れを防止する仕組みを整えるとした。
梶原健次局長は「このような未納という事態が発覚し、市民の皆さまに深くお詫び申し上げる」と陳謝。「今後は20年以前の案件も順次調査し、判明次第公表する。市長の意向も踏まえ、けじめをもって対応したい」と強調した。
嘉数登市長は、関与した職員について分限委員会に諮る考えを示しており、市として厳正な姿勢で臨む方針だ。