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要請に訪れた知念さん(中央)ら関係者らと嘉数市長、宮城教育長 =市役所・市長応接室

差別解消と歴史継承を訴える ハンセン病 問題への取り組みで要請 知念さんら市長・教育長を訪問

 宮古南静園入園者自治会連絡員で宮古退所者の会代表、また(一社)ハンセン病と人権市民ネットワーク宮古の共同代表を務める知念正勝さんらは25日、市役所を訪ね、嘉数登市長と宮城克典教育長に対し、ハンセン病問題への取り組みを要請した。要請では具体的な内容が示され、入所者や家族の人権が尊重される地域づくりを訴えた。また同行した共同代表の亀濱玲子さんや語り部の池村源盛さんらと意見を交えた。
 要請は、偏見や差別の解消に向けた市職員研修の導入や市独自の啓発事業の推進、宮古南静園の将来構想見直し、校外学習のバス費用補助制度の整備、そして入所者・家族への支援の拡充などを柱とする内容で、市と市教委それぞれに3団体の名前で訴えた。
 知念さんは「南静園には現在32人が暮らしているが、ほとんどが車イス生活。彼らが生きていて良かったと感じられる環境を整えてほしい」と強く訴え、嘉数市長へ要請書を手交。また市教委への要請は池村さんが宮城教育長に行った。
 同行した亀濱さんも「差別と偏見をなくすには子どもたちの教育が重要」とし、南静園資料館活用や語り部講話の充実を求めた。また「城東中は自校バスで来園できるが、他校は費用負担が障壁。全校が訪問できるよう支援をしてほしい」と訴えた。
 嘉数市長は、全国療養所所在自治体の会合で目にした「次に生まれるなら犬や猫になりたい。差別や隔離がないから」という手記が印象に残っていると述べ、「差別の実態を忘れず市として対応する。新規採用職員研修にも組み込み、作業部会で市民と共に将来構想をしっかりと議論する」と応じた。
 宮城教育長は「教諭時代から知念さんと関わり、特別授業を企画した経験がある。今後は校長会や管理職研修を通じ、全校で取り組むことが重要」と述べ、教育の現場での継続を約束した。
 市と教育委員会は、人権・平和学習の強化、校外学習費用補助の検討、将来構想見直しに向けた作業部会設置などを課題として共有。差別や偏見をなくし、歴史を次世代へ伝える取り組みが地域全体で問われている。
 また要請後、2019年に家族被害が司法認定されたことを踏まえ、補償金制度の申請期限が29年まで延長されたことも確認。亀濱さんは「宮古での申請は少ない。差別を恐れ申請を控える人もいるが、権利として補償を受けて名誉回復につなげてほしい」と強調した。

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