OIST発展促進県民会議と活動報告を行い、沖縄振興と科学技術の方向性を確認した =OIST・講堂

研究成果と教育体制を報告 OIST 科学・産業の未来図描く

 【那覇支局】沖縄科学技術大学院大学(OIST)発展促進県民会議の総会が13日、恩納村の同大学で開かれた。総会では2024年度事業および収支決算報告、25年度事業計画および収支予算の各議案を審議し、これを承認。活動報告では、OISTの設立経緯や組織運営、国際色豊かな博士課程教育体制、世界トップレベルの研究成果、産業連携・スタートアップ支援の進展を共有。また研究チームによる発表も行われた。

あいさつする加藤重治事務局長・副理事


 総会の冒頭、加藤重治事務局長兼副理事長が「世界水準の研究・教育体制をさらに強化し、沖縄の持続的発展に資する取り組みを拡大していく」と語り、教育・研究・地域連携の成果や今後の方針を報告。県内外の産業振興と人材育成の拠点としての役割強化が確認された。
 玉城デニー知事が不在のため、大城肇副知事が代理で開会あいさつし、OISTの設立17年にわたる歩みと国内外での高い評価、ノーベル賞受賞者をはじめとする優秀な人材輩出の実績を強調。「県民会議として引き続き活動を支援し、沖縄振興と世界の科学技術発展に貢献したい」と述べ、関係者に協力を呼びかけた。
 活動報告では、OISTの設立経緯や組織運営、国際色豊かな博士課程教育体制、世界トップレベルの研究成果、産業連携とスタートアップ支援の進展を共有。新インキュベーター「OISTハウス」の始動により、スタートアップ数の増加や地域雇用創出が進み、県内産業振興への波及効果に期待した。
 また、地域貢献・科学教育アウトリーチ活動として、小中高生向けの出前授業や離島でのサイエンスイベント、年1回のOISTサイエンスフェスティバルなどの取り組みが紹介された。
 高校生研究・起業育成プログラム「SCORE(スコア!)」で優勝した国立沖縄工業高等専門学校チームは、災害時に通信を確保するウェアラブル端末とAIカメラによる分散型通信・情報収集システムを発表し、全国大会で文部科学大臣賞を受賞したことを報告した。
 また、学生チーム「iGEMOkinawa」による農業害虫の早期検知システム「守り」の開発、仏パリでの国際大会出場計画も発表。マンゴーなどへの被害防止や農薬使用の最適化を目指し、DNA検出キットとスマートトラップによる広域監視網構築を進めている。
 研究活動の分野では、量子情報科学・技術ユニットの根本香絵博士が「量子コンピュータ科学の創成と貢献」と題して講演。量子技術の基礎研究から応用探索、企業向けリスキリング教育までの進ちょくを説明し、「次の5年が実証と導入拡大の鍵になる」と展望を語った。

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