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吉浜さんの話にメモを取りながら真剣に聞く児童ら =16日、伊良部島小中・多目的室

「自然と共生する開発を」 伊良部島小中 環境コーディの蟹蔵さん 〝維持する〟重要性

 伊良部島小中学校で16日、環境学習「未来へつなぐ伊良部島の自然環境」が行われ、同校5年生38人が島の自然とその変化について理解を深めた。講師は、蟹漁師で環境カウンセラーの吉浜崇浩さん(蟹蔵代表)が務め、豊かな自然と開発の関係について熱く語った。
 同校のこの取り組みは島の豊かな海の現状や課題について、講話を通して知ることで子どもたち一人ひとりが「自分にできること」を考え、より良い未来づくりへの高揚を図るもの。
 吉浜さんは「昔の伊良部島は世界一自然が豊かだった」と断言し、ジュゴンが訪れていた浜辺や、タツノオトシゴが簡単に見つかった海中の様子を写した写真を紹介した。
 当時の自然の豊かさに児童らは目を輝かせ、「釣りしたら魚いっぱいで楽しそう」「昔の方がきれい」などと感想を述べた。
 吉浜さんは、森林率について本島や八重山諸島と比較し、市の現状を生徒たちに問いかけた。市の森林率約16・4%であり、森の減少による鳥類の激減や害虫の増加、さらに農薬の使用による海への影響に言及し、「自然が戻る開発のあり方が必要だ」と強調。児童たちは真剣な眼差しで耳を傾けていた。
 その上で吉浜さんは「開発を否定しているのではなく、進んでほしくないわけではない。観光で経済が発展するのも、家が建って病院が建って暮らしが良くなるのも大賛成」と前置き、「ただ、自然は維持しなければならない。観光で島を訪れる人たちの目的の中に、この豊かな自然は重要。観光客が求めるものがなくなっていく状況を見過ごすことはできない」と強調した。
 児童らから「宮古をきれいにするにはどうすればよいか」「海が透明だと良くないのか」など鋭い質問が相次ぎ、吉浜さんは「皆が島を大切に思い、知恵を出し合えば必ず答えは見つかる」と力強く呼びかけた。
 最後には実際に漁で獲れたカニを紹介。児童らは「大きくて驚いた」「こわいけどかっこいい」と歓声を上げながら興味深く観察し、自然への関心をいっそう高めていた。

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