
八重干瀬周辺で伝統に挑む 狩俣中生徒ら追い込み漁体験 総出で地域の誇り学ぶ
狩俣中学校(松本尚校長)の生徒10人が12日、狩俣漁港から出港し、八重干瀬(やびじ)周辺で地域の伝統漁法である「追い込み漁」に挑んだ。船6隻を使い2回の追い込み漁を行い、計150㌔を水揚げ。生徒らは事前にプールや海で訓練を重ねた成果もあり、船酔いする生徒はゼロ。万全の準備のもと、安全第一で伝統漁が実施された。
この体験学習は、海の仕事に生きる人々の生きざまや仕事に対する情熱や誇りを学び、豊かな人間性の育成に役立てることを目的に行われている。
当日は1年生2人、2年生3人、3年生5人が参加。生徒たちを乗せた船は午前7時に狩俣漁港を出港。漁師や保護者とともに、地域文化の継承と海への理解を深める体験学習に汗を流した。
漁には地元漁師「友利組」が全面協力し、各生徒に漁師が一対一で寄り添いながら技術を伝授。PTAも当日の調理や会場設営などを担い、体験学習を裏方から支えた。
漁港で子どもたちの帰りを待つ地域住民からは「孫が一回り大きくなって帰ってくるのが楽しみ」との声も上がり、地域一体で取り組む教育を垣間見せた。
生徒らはアオマチ(アオチビキ)やイラブチャー(アオブダイ)、アバサー(ハリセンボン)、オモナガ(キツネフエフキ)、パラフニャ(アイゴ)などの成果を挙げて堂々と同11時半ごろに帰港した。
松本校長は「生徒一人ひとりが自分にできることを精一杯やった。地域の方々の支援があってこそ、伝統行事として今年も成功した。今後も大切に続けていきたい」と語った。
3年生の池間洋暁さんは学友の中でも最も潜るのがうまく、漁師と共に水中へと潜る役割、「本船隊」に乗船。「今回で3回目の参加。前回まではついて行くだけだったが、今回は自分で考えて泳げた。1回目はあまり獲れなかったが、2回目にたくさん獲れてよかった」と達成感をにじませた。
この伝統授業は、地域の漁業文化を次代へつなぐ大きな役割を担っており、生徒たちにとって地元の誇りと向き合う貴重な時間となった。