
み霊眠る納骨堂に献花 偏見差別のない社会へ ハンセン病療養所連絡協 歴史資料館見学懇談も
全国ハンセン病療養所所在市町連絡協議会(会長・渡部尚東京都東村山市長)の総会に参加した全国13カ所の市町関係者は11日、平良島尻の国立療養所宮古南静園を訪れ、342柱が眠る納骨堂に献花を行った。ハンセン病隔離政策により、さまざまな希望を絶たれた入所者の思い、療養所に生き抜いてきた人々の証言が展示されているハンセン病歴史資料館も見学した。懇談会では南静園・自治会と所在市町の関係者らが入所者が減る現状を語り、将来の園の在り方などについて意見交換した。

宮古南静園の敷地内にある納骨堂の慰霊献花式には渡部会長、嘉数登市長ら全国13カ所の市町長ら関係者が出席した。
渡部会長は「南静園は偏見差別や強制隔離に加えて先の大戦では壊滅的な被害を被ったと伺っている。空襲や艦砲射撃などで施設は壊滅し職員は職場を離れ、入所者の皆さんは着の身着のままで周辺の壕に逃げ隠れて何とか命をつなげられたということである。しかし栄養失調やマラリヤ、赤痢で1945年の1年間だけで100人が亡くなったと聞いている」と他療養所とは違う困難な目にあった入所者に思いを寄せた。
また「今年は戦争終結してから80年を迎える。微力ではあるが自治会と手を携えて偏見差別のない平和で誰もが尊重される社会を目指していきたい。本日はみ霊にそのことを伝え、ここに眠るすべての方々の忠魂にささげていきたい」と述べた。
松原洋孝園長は、宮古南静園が1931年に設立されてから94年が経過し、最大300人を超えた入所者数は現在31人で、平均年齢は90歳を超えていると説明。「入所者の減少、高齢化は全国の療養所共通の課題。懇談会では各療養所、市町の将来へ向けた取り組みの紹介をいただき宮古島市との協力関係をさらに深めていきたい」と述べた。
ハンセン病歴史資料館の見学では、ハンセン病と人権市民ネットワーク共同代表の亀濱玲子さんらが案内した。
同資料館は▽療養所の開所▽入所者のくらし▽療養所の子どもたち・学び舎の変遷▽人間回復のたたかい▽証言の部屋▽監禁室再現室▽作品展示室―などからなっている。案内では各展示を説明し、南静園で生き抜いてきた入所者の姿を伝えた。