
雇用、コロナ前比改善 3月労働力調査 5カ月連続で増え続けるも 「自己都合」離職も増
県企画部統計課はこのほど、2025年3月分の県労働力調査の結果(概要版)を取りまとめた。それによると、就業者数は前年同月比3千人増の76万人で、増加は5カ月連続となった。雇用者数は、同8千人増の66万4千人でこちらも5カ月連続での増加となっている。コロナ禍前の18年3月分と比べ、3万9千人増加し、雇用者数も61万6千人から66万4千人へと増え、雇用環境はコロナ前より明らかに改善していると見える。就業率は1・3ポイント上昇し61・5%に達した。
2025年3月分の主な産業別就業者数を前年同月と比べると、教育、学習支援業が1万人増の5万4千人、学術研究および専門・技術サービス業が7千人増の2万9千人、宿泊業、飲食サービス業が7千人増の7万3千人、情報通信業が6千人増の2万8千人、農業および林業が5千人増の2万9千人、運輸業および郵便業が2千人増の3万4千人、公務(他に分類されるものを除く)が1千人増の4万4千人となった。
そのほか、建設業は横ばいの7万2千人となり、医療および福祉が1千人減の12万2千人、生活関連サービス業および娯楽業が2千人減の2万8千人、サービス業(他に分類されないもの)が5千人減の6万5千人、製造業が5千人減の3万2千人、卸売業および小売業が6千人減の10万7千人となっている。
18年同月と比べると宿泊および飲食サービス業が1万5千人増と最も伸び、観光復活の勢いを裏付けた。教育・学習支援業も1万4千人増、学術・専門・技術サービス業は1万2千人増と大きく伸びており、人材需要のシフトが鮮明になった。情報通信業も1万人増で、デジタル分野が労働市場の中心に浮上している。
一方で、製造業は1万人減、卸売・小売業も5千人減と落ち込み、従来の労働集約型産業が後退した。医療・福祉は7年間で1万5千人増えたものの、25年は前年を下回った。人手不足や離職増が影響した可能性がある。
25年3月の就業率は61・5%で24年同月比0・1ポイントの上昇。15~64歳の就業率は76・1%で同0・8ポイントの上昇。完全失業者数は2万8千人で同1千人の減少だった。
求職理由別に前年同月と比べると、「定年又は雇用契約の満了」が2千人減の2千人、「勤め先都合」が横ばいの1千人、「自己都合」が4千人増の1万4千人、「学卒未就職者」が1千人減の4千人となり、「新たに収入が必要」が1千人減の3千人、「その他」も1千人減の1千人となっている。
18年同月と比べると4千人増。「自己都合」による離職は増えており、職場環境への不満や転職意欲の高まりが背景にあるとみられる。
コロナ禍前後で観光、教育、専門職、情報通信が拡大する一方で、製造や小売など伝統的な産業が縮小し、沖縄の雇用構造は明確に転換した。スキルと適応力が問われる時代が本格化している。