
北斗不動産Gが計画説明 旧平良庁舎利活用 12日に開放「あとからや会」 計画変更に疑念の声も
宮古島市がPFI事業として計画する「旧平良庁舎利活用事業」の優先交渉権者に選定された埼玉県所沢市の北斗不動産グループ(代表法人=北斗不動産ホールディングス、上田真一代表取締役社長)は9日、市未来創造センターで同事業に関する計画概要説明会を開いた。嘉数登市長をはじめ、各所関係者らが会場に訪れ、上田社長から機能や計画の説明が発表された。その一方で、参加した関係者からは同事業計画に対する疑念の声も聞こえた。

市では同事業を民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI)に基づき、2023年に特定事業として民間事業者を公募型プロポーザル方式で募集し、同年11月に同グループを優先交渉権者に選定。その後、同グループは旧平良庁舎プロジェクト社を設立し、市議会の議決後、本年2月に実施契約を締結した。


上田社長の説明によると「宮古島の住民と観光客が交流する場を提供することで新たな価値を生み出す」を全体コンセプトに掲げ、「オフィスビルがないため、賃貸住宅をオフィスとして利用している企業が非常に多い」として貸オフィス集約の複合施設として整備し、住民と観光客が交流する新たな拠点を創出し、26年中の開業を目指すという。
具体的配置として▽1階(旧庁舎・地下駐車場)にはコンビニやレンタカー、クリニックなど▽2階=マーケット、飲食店舗、屋内ステージ▽3階=飲食店舗、シェアキッチン▽4階=貸オフィス▽5階=68室集約のスモール貸オフィス▽6階=共有ラウンジ・テラス、貸オフィス―のほか議場のあった7階は貸会議室や貸オフィス、8階はルーフトップバーに整備するとのこと。
また、「幼少時に長期休暇で訪れた宮古島にあった伝統行事が体験できる場としたい」として「来客用駐車場は原生林と泉を配した公園に、旧市立図書館周辺はファーマーズマーケットに整備し、さまざまな島の魅力を付加価値として生み出す場所に変わる」と宣言。従業員は1日に500人、来訪者を同2400人でそれぞれ想定するも従業員の駐車場問題の課題を挙げた。
また12日には午前10時から同庁舎1階を開放し、ペイント体験や昔の写真展、完成イメージ図を展示する「あとからや会」を開催する。入場無料とのこと。
説明会に訪れた市民からは「前政権ではくさい物にふたをするような扱いだったのでこれで一つ安心」との声が聞こえた一方で、「具体的な話が聞けたが、島の賃貸物件がオフィス利用されているとしてもそればかり必要なのか。企画が足りなかったのでは」「質疑応答にもあったが、優先交渉権前の当初計画から採択後に少しでも計画が変われば、企画競争方式であるプロポーザルの意味がない。市民軽視であり、選定は出来レースと思われても仕方がない」などの声もあった。
同事業の選定には当時副市長の嘉数市長らが審査した。当初は議場のあった7階を公衆浴場にする計画だった。