
知事、自民修正案「再議せず」 米事務所活動事業費 借換債の増額には「再議」
【那覇支局】沖縄県議会(中川京貴議長)は28日の最終本会議で、2025年度一般会計当初予算案から米国ワシントン事務所の活動事業費約3900万円を全額削除し、予備費に組み入れる自民党の修正案を自民、公明、維新の賛成多数で可決した。また、自民が借換債の増額に向け、58億円を財政調整基金に積み立てる修正案を提出し、こちらも自公の賛成多数で可決した。玉城デニー知事は採決の結果を受け、財政調整基金への積み立て修正案については「再議」に付したが、ワシントン事務所の活動事業費の修正案の「再議」は断念した。
ワシントン事務所を巡っては県議会の百条委員会、県の調査検証委員会で不透明な設立経緯や運営実態が明るみに出ており、批判が強まっていた。野党の下地康教氏(自民)は①駐在事務所が議会の議決を経ず、株式会社として設立された②駐在職員が株式会社役員の兼業許可を得ていない③駐在職員が米国へのビザ申請の際、虚偽の書類を提出している―と指摘。「事務所の役割や目的を否定するものではないが、順法精神にのっとり、法的根拠を持って事業を推進するのが県民の負託に応える道だ」と訴えた。与党は駐在事務所の活動事業費を約2600万円に圧縮する修正案を提出。比嘉瑞己氏(共産)は「誰が見ても納得できる形で事務所のあり方を見直し、より良い方向性を見出すための必要最低限の予算だ」と説明した。
自民修正案の採決は自民の要求で記名投票を採用。賛成は自民、公明、維新の27票、反対は与党の18票だった。
借換債の増額を求める修正案については公明が賛成したが、維新と与党は「知事の予算編成権を侵害する恐れがある」などとして反対した。記名投票の結果、賛成25票、反対20票で可決された。
玉城知事は採択の結果を受け、議場で「議会の議決がその権限を超え、法令に違反すると認めるため、地方自治法の規定に基づき、再議に付した」と説明し、借換債の増額を求める修正案については「再議」に付す考えを示した。ワシントン事務所の活動事業費の修正案に「再議」を付さなかったのは暫定予算を避けたい与党の一部に修正案に賛成する動きがあったことから断念したとみられている。