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一席に「島の塔頭と電照菊」 宮古島文学賞入賞作品 二席に向井田さん、佳作に時津さん
市文化協会(饒平名和枝会長)は7日、市役所で第8回「宮古島文学賞」の入賞作品を発表した。一席は国梓としひでさん(75、沖縄県)の「島の塔頭(タッチュー)と電照菊」、二席は向井田周明さん(62、鹿児島県)の「アサギマダラ」、佳作は時津逸さん(56、長崎県)の「春の嵐」が受賞した。「島」をテーマにした短編小説は全国から98作品(県内宮古島含め26作品)の応募があり、応募最年少は14歳、最高齢は87歳とのこと。
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会見では、主催者の饒平名会長が「幅広い年齢の方々が、宮古島文学賞に関心を持ちご応募くださりうれしく思う。今後とも「島」を紡ぐ特徴ある島文学が島の豊かな未来の架け橋となるよう、全国に向けて発信していきたい」とあいさつ。市教委の前泊直子教育長職務代理は「この文学賞を通して、島の内外2つの視点から魅力を再発見し、心豊かに暮らすための視点と発想を得られることを願っている」と述べた。
このあと発表があり、最終選考は作家の椎名誠さんが選考委員長、委員は市出身の児童文学作家もりおみずきさん、詩人・作家で元琉球大学教授の大城貞俊さんが務めた。
大城さんは、一席に選ばれた国梓さんの作品について「この作品は『僕』が語り手の作品で、現在と過去を往還しながら、戦争の悲劇を過去のものとしないと同時に、相手を理解し許し合うという一つの希望が描かれている。各地で起こる戦争で人命が失われているが、そんな時代に必要な人間としての生き方、生きる姿勢を文学の力で示した作品となっている」と評価した。
この作品は、ミャンマーから沖縄の百渡島にやってきた農業技術実習生が、離れに住むオーナーのおじいと出会い、ある出来事がきっかけに戦争の記憶を呼び覚まし、死を前にした手紙での告白、そして謝罪へとつながっていくという物語。「3作品とも未来への希望が描かれている。いい作品を選べたと思う。宮古島文学賞が全国で認知されつつあるということをとてもうれしく思う」と語った。
もりおさんは、向井田さんの作品について「本当に好きな作品。宮古島のオオゴマダラがふわふわと飛んでいる情景を思い浮かべながら読んだが、久しぶりに小説を読んで涙が出てくる感動を味わった」と高く評価し、「毎年心待ちにしている。入賞されなかった5作品もとても面白く、みなさんに読んでほしい」と話した。
一席に選ばれた国梓さんは「栄えある宮古島文学賞に入賞でき、とても光栄。今後もいろんな分野の小説を書いていきたい」と今後の意欲を示した。
授賞式は3月8日、午後5時からホテルアトールエメラルド宮古島で行われる。