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嘉数市長(右)に答申を行う藏田委員長(中央)、友利健太副委員長 =市役所

「料金値上げ必要」答申 市下水道使用料 将来、安定的な運営へ 議会、市民に丁寧な説明も

 宮古島市下水道使用料審議会(藏田幸三委員長)が3日、嘉数登市長に諮問のあった「下水道使用料の適正の在り方について」の答申を行った。経営戦略や資料等を基に審議した結果、現行は安定的な運営や将来の持続可能性が確保できないとし、「経営戦略の目標値達成には使用料収入の確保である料金値上げが必要である」と結論。付帯意見としては値上げに係る条例改正案を上程する際は議会や市民に対し、なぜ上がるのか値上げの根拠について資料等を示した上で丁寧に説明することなどを付けた。
 下水道使用料の適正の在り方について審議するのは合併後初めて。試問を受けた同審議会は藏田委員長ら6人の委員が2023年5月30日、8月1日、11月29日の3回審議会で▽下水道事業経営戦略の見直し策定▽現状と課題▽下水道接続者と浄化槽利用者のコスト比較▽経営戦略における事務局目標値の確認▽具体的な使用料値上案―などについて協議した。
 答申では、現行の使用料収入及び体系では「安定的な運営ができない。もしも今後、下水道事業の経営が立ちゆかなくなれば土壌や地下水の汚染が引き起こされ、飲料水を地下水に依存している市では生活環境の維持に影響が出る」と指摘した。
 下水道使用料収入が事業の維持管理費に対して不足していることにより、一般会計からの繰入金(基準外繰入金)に依存している状態が続いており、公共下水道や農業集落排水、漁業集落排水に接続していない住民に対し、税の使用で不公平が生じている状態であるとも言えるとも指摘した。
 審議の結果、下水道課が掲げる経営戦略の目標値である「令和15年度末時点で基準外繰入金1億円以下及び経費回収率88%」を達成し得る下水道使用料収入の確保、料金の値上げが必要であると結論づけた。
 具体的な料金体系は、国の提示する使用料金基準の達成可否や市民への影響、今後の経営状況等を踏まえた料金改定(公共下水道一般家庭基本料金・水量0~8立方㍍=現行550円、令和8~11年1000円、令和12年~1450円など)を示した。
 付帯意見としては▽経営戦略目標値をクリアできるシミュレーション結果となった料金体系とする▽市民への影響を考え段階的な料金改定とする▽下水道接続率の向上を図り、使用料の値上げ以外にも収益が向上する働きかけや施策を工夫する―などを付けた。
 藏田委員長は「充実した議論ができた。答申では結論を中心に収めたが検討プロセス含めて市民や関係者の方々と情報共有して理解を深めていただきたい」と話した。
 嘉数市長は「将来に向けて考えていかなければならない内容になっている。特に市民間の税の公平、持続可能性の意味では料金改定やむなしという所に至っているのではないか。答申書は付帯意見も踏まえ、しっかり検討して議会に条例改正を提案したい」と述べた。

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