沖縄予算2642億円 25年度予算案 4年連続で3千億円下回る 離島振興は別枠で計上

【那覇支局】政府は27日、2025年度当初の沖縄関係予算案を前年度比36億円減の総額2642億円に閣議決定した。3000億円を下回るのは4年連続。使途の自由度が高い沖縄振興一括交付金は42億円減の721億円が計上された。離島関係では、新規に沖縄離島住民交通コスト負担軽減事業で31億円、沖縄農林水産物不利性解消事業に20億円、沖縄離島無電柱化緊急対策事業に3億円がそれぞれ盛り込まれた。また、沖縄離島活性化推進事業に5億円増の31億円、沖縄小規模離島生活基盤整備推進事業に前年度同額の7億円がそれぞれ計上された。

25年度当初の沖縄振興予算案が決定したことを受け、報道陣の取材に応じる玉城知事=県庁


 一括交付金の内訳は観光振興に活用されるソフト交付金は24年度予算から52億円減の342億円、社会資本や施設整備のハード交付金は同12億円増の380億円。
 離島振興では、条件不利性の克服や持続可能性の維持向上に向けた事業支援などの離島活性化推進事業に31億円、小規模離島を結ぶ海底送電ケーブルの整備事業支援の小規模離島生活基盤整備推進事業には7億円を盛り込んだ。新規では、地理的不利性から生じる流通コストの負担を軽減する農林水産物条件不利性解消事業に20億円、離島住民の割高な移動費を軽減する取り組みを支援する離島住民交通コスト負担軽減事業に31億円、無電柱化の加速化に向けた支援を行う離島無電柱化緊急対策事業に3億円を計上した。
 市町村に国が直接交付する沖縄振興特定事業推進費は10億円増の95億円で過去最高となった。玉城デニー知事は同日、記者団の取材に対して「引き続き沖縄県の振興について市町村と協力しながら、その事業が着実に進められるように取り組んでいきたい」と述べた。
 新規では駐留軍用地返還後の自治体の計画的な土地取得を支援する駐留軍用地跡地先行取得事業費に68億円、教育、医療、福祉など分野横断的な研究を支援するこどものウェルビーイング実現に向けた調査研究等事業に2億円を要求する。
 伊東良孝沖縄担当相は同日、「『強い沖縄経済』の実現に向けて、各般の産業振興施策を引き続き進めるための所要額を確保するとともに、離島活性化推進事業を増額して計上し、特に条件不利性が高い小規模離島町村を対象とした子育て支援を新たに実施する」と説明。「従来は沖縄振興特別推進交付金(ソフト交付金)で実施されてきた、農林水産物条件不利性解消事業及び離島住民交通コスト負担軽減事業については、それぞれ必要額を計上した上で新規事業として実施していく」と声明を発表した。
 玉城知事は、「振興予算は3千億円台を要望している。補正予算を含めた場合においても3千億円台に届いていない状況で、県や市町村の行政事務の執行に影響が出ていることは事実だ」と述べた。
 その上で「内閣府および政府においてはわれわれの要望する必要な予算を引き続き補正も含めて上乗せできるように取り組んでいきたい」と力を込めた。

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