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交流協定で調印した座喜味市長と潘郷長(右) =市役所

交流協定で調印 宮古島市・台湾牡丹郷 相互理解、和平へ歩む 「牡丹社事件」乗り越え

 宮古島市と台湾屏東県牡丹郷との「交流協定に関する覚書署名式」が6日、市役所であり、座喜味一幸市長と潘壯志郷長が未来志向の交流、双方のより良い発展を祈念して調印を結んだ。過去に台湾牡丹郷で宮古島民らが殺害されるという「牡丹社事件」があった。今回の訪問、調印は事件を乗り越えて交流を進めていこうと結ばれた。会場には市・郷職員や市議、国際交流協会、観光協会など関係者が参加し新たなスタートを見守った。

覚書署名式に参加した宮古島市と牡丹郷の皆さん


 市役所で行われた署名式では宮古島市、牡丹郷の観光、農業などを紹介するビデオが流された。
 座喜味市長は「台湾は最も近い異国であり、観光や物産、教育などで交流を図っていくことは重要である。双方にとって大変辛い歴史的な事件から150年にあたることし、改めてさまざまな分野での交流が促進され、その絆が世代を超えさらに深まることを切望する」とあいさつした。
 潘郷長は「覚書締結に出席できることを大変光栄に思っている。この機会を通じて双方のさらなる協力の基盤を築き、両地域の友好と発展を促進し交流を深めていきたい。今回の締結において教育文化、観光旅行、産業振興で相互に協力し合うことを期待している。今後の協力を通じて地方自治、住民、事業者の皆さんが新たな視野や革新的な思考を持って多くの可能性を引き出すことも期待している」と述べた。
 来賓あいさつは宮古島市から長崎富夫副議長、国際交流協会の下地晃会長、観光協会の吉井良介会長、伊良部商工会の奥濱剛会長が行った。台湾からは台北駐日経済文化代表処那覇分処の王瑞豐処長があいさつした。
 同日夜は懇親会で交流を深めた。きょう7日午前10時からはカママ嶺公園に設置した「愛と和平記念碑」の祈願祭に参加する。
 この記念碑は、同事件を乗り越え、未来志向の親善交流によって事件の誤解を解き、相互理解と和平に歩んでいきたいという思いで牡丹郷が贈った。
 受け取った国際交流協会は、2005年に寄贈された「愛と和平」の石像の隣に記念碑を設置し周辺にはハイビスカスを植樹するなどの環境整備も行った。
 牡丹社事件とは。1871年に琉球王府に年貢を納めた帰り、宮古島民らが乗った船が台風で遭難し台湾に漂着した。その時に宮古島民や沖縄本島の住民ら「琉球人」の54人が殺害された。この事件がその後、日本の台湾出兵につながった。

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